千年樹

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  • サイズ B6判/ページ数 299p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087748505
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

千年を生きたクスノキの物語。それは、繰り返された人間たちの物語。

著者等紹介

荻原浩[オギワラヒロシ]
1956年埼玉県生まれ。コピーライターを経て、1997年『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞受賞。2005年『明日の記憶』で第18回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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nico🐬波待ち中

113
そのくすの木はいつもじっと見下ろしていた。千年もの間、くすの木の下に集まってくる人々をただ静かに見守る。数多ある時代を越えても、そのくすの木だけは変わらずに。大きく枝を広げて悩める人々を抱きかかえるように。世の無情と人々の悲痛な叫びを飲み込むかのように。ちょっとぞわりとなりつつも、時代を越えた人々の巡り合わせを切なく思う連作短編集だった。特に『バァバの石段』が好き。かえるの王子様とのロマンスがとても素敵で、昭子バァバの秘密の恋文にキュンとなった。2019/02/20

ふじさん

91
樹齢千年の楠の木が、小説の軸。まったく違う時代に起こった別々な出来事が、時空を超えて繋がり、登場人物には共通点がある。男に待ちぼうけ食わされる女たち。イジメに会い、鬱憤を募らせる人々。貧しさゆえの不幸。戦争がもたらす悲劇。辛く、ほろ苦い人生の繰り返しだが、静かで、幸せな時もある。目先のこと、自分の利益だけに目が行き、大きな時間や時代の流れに目を瞑る。神社ある神木と崇められている楠の木が、町の開発に邪魔な存在として伐採されるのはいい例だ。木をめぐるドラマが時空を超えて交錯し繋がる、切なさがが残る1冊。2023/08/15

となりのトウシロウ

57
ことりの木と呼ばれる樹齢1000年を超える巨樹クスノキの元で、時代を超えて繰り広げられる人間ドラマ。切なくて悲しくてやるせない気持ちになるお話が多く、少し鬱々とする感じがもう一つでした。そんな中でも「バァバの石段」は、孫の真樹も知らない、女性としての祖母昭子のお話でそんな過去を知った真樹が前を向いていこうとする希望が見える良いお話でした。1000年に亘って様々な人の歴史を見てきた巨樹にはどんなふうに見えていたんだろうな?悠久の時に比べて人の悩みってちっぽけなものだ、そんな事を考えさせられた。2022/01/09

Take@磨穿鉄靴

56
荻原氏。私の思う荻原氏の良さは軽快さとリズム。この作品についてはその対極にある感じ。ジャンルとしては連作小説になるのかな。とにかく話がぶつ切りで展開し各登場人物に感情移入する前に時代やキャラクターが変わる。陰鬱で閉塞感のある話の羅列で千年樹に対しても良い印象は持てなかった。この話を通して荻原氏は何を伝えたかったのだろうか。今度は明るいものを読みたいな。★★☆☆☆2023/09/11

50
百段の階段を上がったてっぺんにある巨大なくすの木。「子盗りの木」と呼ばれる巨木の下で、千年もの間、実にさまざまな出来事が起こっていた。現在と過去を行ったり来たりしながら語られる連絡短編。くすのきに手招きされるように人々は巨木の下でその本性を顕にする。けっこうどろっとしたホラーでしたが、「バァバの石段」だけはちょっと心が安らぎました。2015/12/05

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