出版社内容情報
ふたりの女とふたつの昭和。
生きることがすなわち書くことだったふたりの女性作家をとおして、戦前と戦後のふたつの昭和を照らし出す。「草原を踏みしだいて前進する戦車にも似た彼女たちは、まさに「女流」の名に値した」。
内容説明
“早熟の女流”という宿命を生きたふたりの作家、林芙美子と有吉佐和子をとおして見えてくる、それぞれの昭和と昭和。
目次
林芙美子の旅(働く「女流」;女たちのベンチャービジネス;みにくいアヒルの子;花の巴里はうそ寒い ほか)
有吉佐和子的人生(四十七歳の中国行;小澤征爾との再会;「帰国子女」という文化;「中年期」はむずかしい ほか)
著者等紹介
関川夏央[セキカワナツオ]
1949年、新潟県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SigZ
2
★★★☆ 流行作家であり続けるために命をすり減らした二人の女流作家の評伝。そうまでして書き紡いだ物語も、今は読まれなくなってしまっている(『放浪記』は森光子のおかげで取り上げられているようなものだろう)のは、両者とも自分を投影したキャラクターしか書けなかったからではなかろうか。読んでいて面白いのは破天荒な林芙美子の方であって、有吉佐和子は老いともに次第に嫌な婆ぁになっていくインテリ女の話になってしまって、あまり具体像が浮かんでこない。育ちも頭もいい人からは、あんまり面白いエピソードが生まれないのかもね。2010/12/23