内容説明
小泉八雲が暮らした横浜、松江、熊本、神戸、東京などをつぶさに現地取材。妻セツとの生活、作品形成の軌跡の細部を活写。アメリカ編、ヨーロッパ編に続く渾身のノンフィクション三部作完結編。
目次
序章 横浜―伝説の島
第1章 松江―神々の聖域
第2章 血族―伴侶との邂逅
第3章 熊本―富国強兵の巷
第4章 隠岐・三角―夏の日の異界
第5章 神戸―「雲湧き出づる」帰化
第6章 東京・焼津―海と教鞭
第7章 西大久保―「怪談」の家
終章 晩節―八雲立つ日
著者等紹介
工藤美代子[クドウミヨコ]
1950年東京生まれ。大妻女子高校卒業後、チェコスロバキア・カレル大学留学。その後カナダに移住し、バンクーバーのコロンビア・カレッジを卒業。1982年『バンクーバーの愛田村俊子と鈴木悦』を出版し、以後ノンフィクション作家として執筆をつづける。1991年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞
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感想・レビュー
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ぺったらぺたら子
10
ハーンがいきなり東大をクビにされ、そこへ据えられたのが英国から帰ってきた漱石だった、というのは何か象徴的なものだと思える。つまり、日本はハーンの見たようなものはもう要りません、これからは近代です、と。セツがこんな絵に書いたようなスポイルされたワガママ浪費家で、二人はこんなひどい共依存関係だったと知ると、どうしようもなく切なく哀しく、憐れでなりません。2016/11/29
果てなき冒険たまこ
2
正直言って小泉八雲の著作なんて子供のころ読んだかも。。くらいの記憶しかなくてざっくりと耳なし芳一のストーリーを覚えてる程度の知識しかない。今回家族の「ラフカディオ・ハーンはなんで日本に来たの?」という疑問に答えられなかったので読んでみた。まぁ19世紀の西洋人で日本に同化するのはかなりハードルが高かっただろうけど本人はそう望んでいたし、なくなりつつある日本文化を嘆いている姿は当事者である日本人よりも痛切に感じていたんだろう。それにしては家族の絆はあんまり感じられないけど。2023/03/14
おかめ
1
三部作の完結編のみ読了。ずっと『物静かな人という』イメージであった小泉八雲の妻、セツさんの意外な面に驚きつつも、二人の会話の様子など、ほほえましく面白かった。2016/03/19