内容説明
17世紀フランスのモラリストの生涯と思想。17世紀、争乱のフランス。屈指の名門貴族に生まれ、武人として戦闘と恋愛と陰謀と失意に明け暮れたフランソア・ド・ラ・ロシュフーコー。戦いと陰謀の渦より身を引き、文人として稀有の才を発揮する後半生。「二ツ折りの紙」のように折り重なったラ・ロシュフーコーの波瀾に富んだ生涯を、文明と歴史の変容を見すえつつ、練達の筆が追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
11
『ゴヤ』、『ミシェル 城館の人』、そして本作『ラ・ロシュフーコー公爵傳説』と、混迷のフランスを描く三部作読了。『箴言集(マキシム)』で有名な6代目ラ・ロシュフーコー。本作は6代目がラ・ロシュフーコー家発祥からの履歴や共に歴史に関わった人々について回想したもの。帯剣貴族として幾多の争いに馳せ参じたラ・ロシュフーコーは糖尿病の症状が顕著になった40歳以降に著作を始めたのだそうだ。争乱の時代を描いた堀田善衛の着眼どころに感服した。2018/11/30
波 環
8
むかーし読んでたのを、旅行前に一気読み。 読んで良かった。2023/07/12
ELW
0
僕にとっての余慶としては長年の疑問だった、フランス東インド会社がイギリス東インド会社に敗れた海軍力以外の理由の一つが分かった気がする。 タレーランが「アンシャン・レジームのそれを経験しなかった人は、ほんものの喜びを知らない。」という意味の言葉を遺したと聞いたが、17世紀の雰囲気が伝わった。佐藤賢一や秋田茂が盛名を有すなか、忘れられた作家堀田善衛の偉大さを知った。『三銃士』を第三部まで読んでおいてよかった。2015/04/20