内容説明
月々の文芸誌掲載全作品を取り上げて、縦横2軸の座標による仮借ない採点を施し、文壇内外に賛否激論の渦を巻き起こしたスーパー文芸時評の単行本化。
目次
文芸時評は「国民的象徴」である
再現の現前という虚構
言葉における夢と記憶
「終焉」と「表現」をこえて
シニシズムの生成
歴史意識としての現代文学
美学化の病・病の美学化
小説(家)の「底」と「ゼロ」
ファロクラシーの異化と同化
有機化=全体化の幻
ノイズとしての小説
「中上健次」とこの時代
「黒」へと向かう小説言語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
8
初めて読んだのは私が大学生だった頃だと思う。二十年ぶりの再読になるのだが、私には理解出来かねるところも多々あって評価は難しいのだけれど、何故この人は「文学」をそこまで嫌うのだろうかと不思議に思ってしまった。アナクロニズムが嫌いなのか、それとも「文学」が単に思考停止した人間が生み出すものによって自然に成り立ってしまうことに苛立ちを感じるのか……どちらにしてもその「文学」アレルギーを共有しない者としては批評眼に関してもやや疑問を抱きながら読んだ。漱石をきちんと読まないといけないな、と思ったのが収穫と言えるかな2016/04/17
halow
1
文芸批評に対する批評から始まる文芸批評。最近起きた荒木優太と文學界の一件を考えると、本書の「文芸時評は文学というイメージを、実際に読まれることなく保存するために存在している」という指摘は今でもアクチュアル。2021/06/19
0
関係ないが、荻上チキがこれをベスト10に入れてたってことだよな(スガの弟子だったから当たり前だけど)ていうか、スガの後に荻上チキが出るから面白い笑2017/04/30
ユウキ
0
荻上チキの人生ベスト3の本 https://gendai.media/articles/-/48467?page=32023/09/18
静かな生活
0
4.2◼︎対象に対するイロニーの匂わせ方が極めて秀逸。批評理論を動かすことは「文句のブー垂れ」ではないと思い知らせる力量である。ああいう粋なチャートを書ける人間になりたいと思わせてくれる。そしてあのカバー表紙の「様々な角度」を写すデザインは「批評」を具現化した。色々と見事。2019/11/05