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さいごの恋

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  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087734478
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

海、つまり大海原の音がいま、聞こえてきている。力強い響きを立てて。満潮時の波の音なのだ。風であおられた高い波。それが崩れようとする。まるごと落ちてくる。海のかたまりがどさりと。作曲家ポール。余命を宣告され、妻を離れて、海辺の別荘でただひとり。決行日は今日にしようか、明日にしようかと考えている。それとも、さらにあと少しだけ待つか。残された時間は尽きようとしていた…。

著者等紹介

ガイイ,クリスチャン[ガイイ,クリスチャン][Gailly,Christian]
1943年パリ生まれ。若き日はジャズのサックス奏者としてプロをめざし、さまざまな職業を転々としながら演奏活動を行うが、1987年、44歳で作家デビューをはたす。その第11番目の小説『ある夜、クラブで』(2001)によって一つの頂点に到達、フランスで発売後たちまちベストセラーとなり、アメリカをはじめ世界中で翻訳され、映画化も決定

野崎歓[ノザキカン]
1959年生まれ。フランス文学・映画論。東京大学大学院総合文化研究科助教授。トゥーサン作品の翻訳により2000年ベルギー・フランス語共同体翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りつこ

29
余命を宣告された作曲家が妻と離れて一人海辺の別荘に向かう。死ぬために訪れた別荘で偶然出会った人妻に片思いにも似た淡い感情を抱く。主人公の意識は途切れがちで、もしかするとこれらの出来事はすべて幻だったのかもしれないと思うほど。だが不思議と悲壮感はなく、軽やかで楽しささえも感じられるのは、もうすでにこの世から離れようとしている身の軽さゆえなのか、あるいは美しい情景描写のせいなのか。よく知っているわけでもないのに「いかにもフランス的」なんてことを言いたくなるような、洒落た作品だった。2016/01/10

マリカ

15
始まりは悲壮感が漂っていて、嫌な予感がしてしまいましたが、だんだんよくなっていって、ラストはほっとします。なぜタイトルの「さいご」をひらがなにしたか。野崎さんのセンスがここにも表れている気がします。実はフランス語で小説を読む練習をしたくて、候補を探しているところ。この本はストーリーもシンプルだし、ボリュームもないのでちょうどよいかもと思っています。最初からフランス語で読むのは厳しいと思い、日本語で読んでみたのですが、野崎さんの翻訳が美しくて、うっとり。自力で読んだときの印象とかなりギャップがありそう。2012/02/22

11
残された最後の時間「Bye Bye Blackbird」を歌ってもらう、とても複雑な気持ちでした。2022/11/28

ムーミン2号

9
爽やかな恋愛物語でもなければ、艶やかな恋の物語でもない。現代音楽の作曲家が余命幾ばくも無い中で、長年連れ添った妻を遠ざけ、一人死地と定めた別荘でその時を迎えようとしている。ところが、勘違いから出会いを果たした魅力的な女性に惹かれてしまう。彼女がそれに応えようとするのは、彼が死する直前だからか? 線香花火が散る前のような一瞬の閃光を放つ恋。一方、駆けつける妻に言い寄るタクシーの若い運転手。それを無視して着いた先ではピアノの音が聞こえている。妻の喜び…そこまで。最期まで異性に惹かれるのが人の我儘だろうか。2017/12/13

nranjen

2
すてきな表紙と海辺の情景、光や砂、風の印象がオーバーラップする。音楽と文章の戯れを感じさせる。2017/06/04

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