ぼくの命を救ってくれなかった友へ

ぼくの命を救ってくれなかった友へ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 271p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784087731453
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

エルヴェ・ギベール。フランス文学の将来を担う気鋭の作家として凄まじいスピードで創作を行なっていたが、1988年エイズに罹っていることが発覚し、フランス中に衝撃を与える。絶望の中、エイズと闘う自分自身の姿―ホモセクシャル、乱脈深まる愛欲の日々―を一切合切さらけだして描いたのがこの作品である。1991年12月27日、36歳の誕生日の直後にギベールは死去。友人の哲学者ミッシェル・フーコーのエイズ死を追うような死であった。本書は、生前1冊の邦訳も出されなかった彼の、遅ればせの日本デビュー作である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tera。

24
久々の再読。作者ギベールの私小説であり、日記でもある。1980年代にはAIDSについての知識や治療方法が確立されておらず、患者はパニックに陥った事だろう。「ぼくは自分が人を愛していないことを知ってしまった。いや、ちがう。たしかに、愛してはいない。むしろ憎んでいる。すべては、憎しみ、ずっと以前からいだいているこの執念深い憎しみのせいだろう」憎しみと怒りがたくさん詰まった作品だ。特にビルのモデルになった人にとっては脅威だったろうと思う。この作品でギベールは自分の人生を清算しようとした気がしてならない。2014/07/23

eeko

18
タイトルに惹かれましたが少々読みづらかったです。作者自身がAidsに罹りその経過を綴った小説です。『生』をテーマとし死を免れない生命、死が近づくにつれ全身を振るい質実な描写が彼の怒り憎しみを強くしていく様がわかる。80年代前半に急増したHIVは治療法がなく、当初開発されたAZTの服用で感染のリスクを軽減できることがわかったが、すべてのひとに効果を齎すものではなく問題提起に至った経緯がある。彼の失望が続き治療と生きる姿勢が果てしなく並行していく日々の精神力をどう維持していけるのかと難しかったです。。。2015/01/31

mejiro

9
事実とフィクションが溶け合う。語り手の波立つ心情が伝わる。エイズが知られてなかった当時の状況がわかる。HIV感染告白も衝撃だが、人間関係のいざこざ、いわゆる暴露本的な面が、本書が注目を浴びた一因らしい。語り手は作家、登場するのは、高名な哲学者、女優、ワクチン研究所所長、と役者が揃う。交流、私生活をさらけ出す様は自暴自棄に見える。興味本位な読者への軽蔑も込められているかも。いずれにせよ、著者にしか書けない本だったと思う。訳が読みにくいのが残念だった。タイトルが印象的。2017/07/05

はせこー

4
このジャンルはほとんど読まないけど。 魂の叫びともいえるのか。 なかなか痛々しかった。2012/12/29

takizawa

4
ラヴズ・ボディ展@写美でギベールに興味を持って読んでみた。不治の病に罹ったギベールが,周囲の人間との交流の様子や死への不安などを書き綴った自伝的エッセイ。読みどころは,フーコー(哲学者)との友情,イザベル・アジャーニ(女優)への怒り,エイズワクチンを打つと約束しておきながらその約束を反故にしたビル(仮名。=”ぼくの命を救ってくれなかった友”)に対する憎悪。訪日した際の記録も綴られていて,浅草や京都を回っている(写経のシーンは和んだ)。2011/01/11

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/109302
  • ご注意事項