出版社内容情報
子供も、親も、保育士さんも、先生も、心をつなげば大きくなれる──。四人家族の横山家の歩みを中心に、人間の成長を描く九つの連作短編。『おれのおばさん』シリーズの佐川光晴が贈る感動作!!
内容説明
どこかにありそうな町の、どこかにいそうな家族。そんな一家のありふれた日常の中に、かけがえのない大切な瞬間が詰まっている―。四人家族の横山家の歩みを中心に、人生の小さな転機の日を描く、九つの連作成長物語。そんな素晴らしい一日が、あなたの周りにも、きっとある―。子供に、親に、保育士さんに、先生に…。その日、小さな奇跡が起きる。人それぞれの小さな一歩に温かく寄り添う、感動の連作短編!珠玉の家族小説。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年2月8日生まれ。東京都出身、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。2000年、食肉処理場で働きながら書いた作品「生活の設計」で第三二回新潮新人賞を受賞しデビュー。2002年『縮んだ愛』で第二四回野間文芸新人賞受賞。2011年『おれのおばさん』で第二六回坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
93
子どもは子どもなりに、母親は母親なりに、父親は父親なりに、社会人は社会人なりに、抱えるものはあり考える事もある。誰もがお互いの幸せを願い、より良く生きたいと毎日を送る。いちいち意識しなくても自然に心が動いて為すべきことが見えてくる。そんなスッキリとした連作集。あの子もこの子も良い子だし、誰も彼も悪気はなくて最後は丸くおさまる。「もっと勉強がしたい」の水野先生、大好きです。時間を経た構成に登場した子どもたちの成長をみることが出来、まるで近所のおばちゃんになったように頬を緩めて本を置いた。2016/10/18
ゆみねこ
74
4人家族の横山家の太二くんの保育園卒園から中学校卒業までを時間軸にした9つの連作短編。横山家がとても素敵な家族で、この両親に育てられる子供たちは幸せだな。2016/07/15
ぶんこ
66
太ニ君が保育園卒園から中学卒業までに育っていく過程を、太ニの家族と周囲の人々を主人公にした短編集。(都営地下鉄三田線君)と呼ばせていた幼児が、テニス部キャプテンとして卒業の日を迎えたとは、まるでおばあちゃんになったように感慨深い。子供がいると9年間のなんと充実した日々だろうか。そして、お姉さんの弓子さんの危機を救ってくれた水野先生と、怒ることなく受け入れてくれたご両親も立派。太ニ君の受験に合格祈願のお守りを贈ってくれるようになっていたのが嬉しかった。穏やかな春の昼下がりのような読後感。2016/09/10
ミーコ
58
佐川さん2冊め。横山家の太二が3歳の時から高校の卒業式までを歩みを描いて有るのですが まるで一家のビデオを観ている様。太二だけじゃなく お姉ちゃん お母さん お父さんの成長記録でもある。あの小さかった子が立派になって~と近所の子供を見てきたオバちゃんの気持ちになります。「水筒のなかはコーラ」と「保育士のしごと」と最後の「やっぱり笑顔」が好きです。武藤さんとお母さんのあこまでの確執が上手く行き過ぎ?みたいに思うトコも有るけど お母さんの子場馴れしなきゃあ と前向きな姿が素敵です。一家の今後も見てみたく思う2016/05/18
いたろう
56
子供たちとその周辺を描いた連作短編集。子供はある日急に大人になるのではない。日々成長している。だから、子供たちにとっては毎日が「大きくなる日」=「大人になる日」。そして、そんな子供を見守る大人も、子供によって大人として完成していく、毎日が大きくなる日、なのかもしれない。短編9編、キーとなる太二の保育園から中学校卒業まで。まっすぐな太二の姿が清々しい。太二の姉、弓子の中学生時代「もっと勉強がしたい」、テニス部に入った太二の中一の姿「四本のラケット」、中三の太二に憧れる後輩の良子「本当の気持ち」が特にいい。2016/06/21