出版社内容情報
勝利を、信じろ――。
足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。
埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。
社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害――。
チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かっていく零細企業・こはぜ屋。はたして、彼らに未来はあるのか?
池井戸 潤[イケイドジュン]
内容説明
勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
1182
【陸王】を履いて600P弱、一気に駆抜けた気分!長編ですが、一気読みです。池井戸潤は、新作中心に読んでいる作家です。本作もワンパターンですが、中小企業小説とスポーツ小説が上手く核融合し、見事な華を咲かせます。モラトリアムな息子の成長譚でもありました。今回の悪役が小粒だったのが残念ですが、埼玉地元企業を舞台にした作品でもあり、親近感が湧きました。次回作が、どんなテーマになるのか楽しみです。2016/10/05
W-G
1166
いやぁ面白い。あらすじを読めば、誰もが下町ロケットの再来を期待すると思いますが、ちゃんと応えてくれてます。池井戸作品を連読していると、半沢シリーズやルーズヴェルトゲームから流用したような場面展開にマンネリを感じるかもなしれないので、冷却期間を置いて読むのがおすすめ。下町~との大きな違いとして、佃社長があくまで自社の技術力を裏付けとしてロマンを追うタイプであったのに対して、今作の宮沢社長はより経営者タイプ。そして人との繋がりの中で生きている。重要な節目で銀行・バンカーが実は温かい一面を見せている事も注目。2016/07/09
nanako
1098
うーん、かなり面白かった!です。普段の池井戸作品に堂場瞬一テイストが若干加わった感じで(私は普段走ったりしているので余計に楽しめたのかもしれませんが)一気読みでした。ランニングのシューズメーカーもシューフィッターもおそらくこの会社、この方だろうな、というモデルになった会社や人が頭に浮かびました。会社の在り方、働くことの意味や価値観、父と子、仲間、人と人とのつながり、それぞれの矜持、もう感動要素満載です。それにしても、実際にものを生み出す、ものづくりって(ものすごく大変だと思うのですが)いいですよね。2016/09/04
遥かなる想い
970
足袋からスポーツシューズへ..池井戸潤が 描く中小企業「こはぜ屋」の新規事業への 挑戦物語。下町ロケット以来 定番の感が あるが、やはり面白い。 読んでいて元気が出る物語..駅伝のエース だった茂木選手の復活とリンクさせながら、 中小企業対大企業、花形選手対茂木選手という 構図はテンポもよく読者を離さない。 最後はスカッとできる満足の物語だった。 2016/10/16
Yunemo
955
信頼を絆とした人々が生き残るという構図、やっぱり読み応え有り。でも一方で、経営とは経済合理性に則って行わなければ、ゴーイングコンサーンならず。この過程で「ちょっとしたこと」に気付いて乗り越えるまでが、実は「たいへんなこと」これが経営の真髄。買収による企業規模の拡大、今盛んに行われている手法、これが良いとか悪いとかの判断ではなく、目指す方向性の相違と認識するのが妥当なのでしょう。人の問題と捉えれば、保証のないものを信じ、愚痴を言わず人のせいにせず、結果を真摯に受け止める、これをベースとした本作品に価値あり。2016/07/31