内容説明
世界の名作、笑いのツボを新発見。
目次
1 カフカの『変身』はけっこうベタなナンセンス・コント
2 ゴーゴリの『外套・鼻』はいきなりハイパーモダン
3 カミュの『異邦人』は意外にイイ人
4 ポーの『モルグ街の殺人』は事件じゃなくて事故でした
5 ガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』は臓物小説
6 夏目漱石の『坊っちゃん』はちょっと淋しい童貞小説
7 デュラスの『愛人』にはアナコンダは出てきません
8 ドストエフスキーの『地下室の手記』の主人公は空気読みすぎ
9 魯迅の『阿Q正伝』は文学史上もっともプライドが高い男の話
著者等紹介
奥泉光[オクイズミヒカル]
1956年、山形生まれ。国際基督教大学大学院修了。小説家。1993年『石の来歴』で第110回芥川賞受賞
いとうせいこう[イトウセイコウ]
1961年、東京生まれ。作家・クリエーター。現在、12年ぶりの小説を「連載小説空間」にて連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
70
この二人のトークライブで未読のこれを読む。世界文学の9作品をそれぞれ読みどころや小説技法などを解説しながら語り合う。「変身」「外套・鼻」「異邦人」「モルグ街の殺人」「予告された殺人の記録」「坊っちゃん」「愛人ラマン」「地下室の手記」「阿Q正伝」で坊っちゃんのは漱石漫談収録のものと同じだった。全部既読であるがぜひ再読したいと思うものがあった。予告されたと愛人の2つ。複雑な語りの意味合いなどの指摘がありいろいろ唸った。ただこのトークライブのスタイルは今回まどろっこしく感じてしまった。2018/03/16
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
41
奥泉光×いとうせいこうの文学漫談第二弾。カフカ、ポー、ドストエフスキー、デュラス、マルケス、カミュ、ゴーゴリ、魯迅、漱石を漫談形式で語ります。今まで難しそうで読まず嫌いだった世界文学にも、2人の語り奥泉さんのボケといとうさんのツッコミがおもしろくて少し興味が沸いてくる。でも、マルケスの『予告された殺人の記録』の人物相関図、外国の人の名前が苦手な私には、これは絶対無理!と思ってしまった。2016/05/28
ロア
27
この一冊を読んだだけで、取り上げられてる世界文学を全冊読んだ気分に!(⊃^ω')⊃□ ゴーゴリさんの「鼻」のイメージが鮮烈!魯迅の「阿Q正伝」は、こんなストーリーだったんだ…かわいそ過ぎて私には絶対に読めないな。。。(´_`。)2017/09/06
やまぶどう
18
前日ゴーゴリ「外套・鼻」を読んだのはこの本を読みたかったから。先日読んだ「予告された…」の項を読んだところそれはそれは楽しく、「外套・鼻」もぜひとも先に読まなければ!と思い至ったのです。いやあ全編笑わせて頂きました。特に前出の2冊は読んだばかりで記憶に新しく、いちいち膝を打ち、大笑い。他にも「変身」はツッコミどころ満載、「坊ちゃん」のすっとこどっこいっぷりに驚き、「愛人」では読み逃していた視点に気づく。収録された本は有名で薄い文庫ばかり。全作読み直してまたこの本で大笑いしたい。2009/07/18
三柴ゆよし
12
デュラス『愛人』以外は既読。いずれも文庫で容易に入手出来、且サラリと読めるもの(一部例外あり)を中心にチョイスしているので、世界文学入門の入門には最適かも。ちなみに自分はおふたりの読みに意外と近い読み方をしていたようで吃驚した。後藤明生の『挟み撃ち』はゴーゴリへのオマージュとか、中上健次とデュラスの親近性とか、本筋とはあまり関係ないところで「ほほう!」と膝を打つことが多かったように思う。抱腹絶倒というほどではないけど、これ、結構ジワジワきます。通勤・通学時には要注意だ。2010/07/08