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集英社文庫
静かなる天使の叫び〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 367p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087605815
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

思慮深かった母が壊れていく一方で、ジョゼフは恩師のアレックスと親密な関係を築き上げていたが突然の不幸が彼を襲う―失意のままニューヨークに移ったジョゼフは作家志望の仲間にめぐり会う。しかし、そこでもまた、さらなる絶望的運命が待っていた!そして自分を苦しめてきた故郷での少女連続殺人事件が、今も続いていると知ったジョゼフは…。英国ベストセラーの圧倒的クライマックス。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

293
分類上はミステリーなのだろうが、読後の重さは純文学により近いものだ。ミステリ-としての謎解きといった妙味はあまりないように思う。もっとも、こうしたジャンルに精通していれば、一連の犯人はあるいは自明なのかも知れない。主人公(語り手)の書いた3つの小説―それは彼の数奇な一生の記述であり、我々読者もまたそれを追体験することになる。時代も環境も大いに違うのだが、それもまたあり得たかも知れない私の人生なのだ。本書はそうした強固な説得力を持って我々に迫る。随所に散りばめられたメタファーが小説に深みを与えて効果的だ。2016/06/06

遥かなる想い

206
下巻も異様な不気味さに包まれながら、 物語は進む。 ジョセフに襲いかかる不幸の連鎖の背後には 何があるのか?人は過去から逃れることは できないのか?壊れた母の真実はどこに あるのか? 畳み掛けるような過去の真実の暴露は 読書の速度を加速させるが.. 幸せと不幸との極端な落差の繰り返しは 著者の残虐な 意図なのだろうか? 最後は思わず息を呑む 終わり方だった。2017/04/12

ケイ

125
エルロイを読んでいる時のように、本が付箋だらけになる。気になる文や表現があちこちにある。しかし、主人公がニューヨークに行ったあたりから、その巧みさが少々失速しているようだ。エルロイのLA3部作のように再読に耐えるとは思えない。それでも作者は力を込めて書いたのがわかり、読後の満足感も高い。これほど力を込めていたら多作は難しいだろうが、是非他の作品を読ませて欲しいと思う。2016/09/22

まふ

111
下巻ではジョセフにとって楽しいニューヨーク生活が半分近くまで続き、「文学作品」と見まごう印象深い叙述が続く。だが事態は急転し突然ジョセフは殺人の下手人として一方的に終身刑を宣告されるが無実で釈放される。それからの彼は事実追及の鬼と化し最後に・・・と読む手ももどかしい展開となる。結末も驚くべきものであり、読後の感銘は深く、しばしその余韻に浸ってしまった。物語の構成要素が素晴らしく単なる猟奇少女強姦連続殺人事件のミステリーという興味本位では片づけられない優れた作品であると思った。G1000。2023/08/16

扉のこちら側

76
2016年965冊め。【229-2/G1000】上巻で発展があったジョゼフとアレックスの関係が、このような結末を迎えるとは。何故こんなにも彼に悲劇が降りかかるのか。そしてもはや隠せない真犯人の起こす新たな事件に戦慄。ミステリとしての面白みを重視するよりも、続発する事件に恐怖しながらジョゼフと一緒にどう受け入れて昇華していくかという純文学や哲学的作品だったと思う。2016/11/06

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