内容説明
廓の街に住む勝気な美少女・美登利はお寺の息子・信如にほのかな想いを抱いている。しかしお互いを意識するにつれ会話はぎこちなくなり…。せつなく不器用な初恋を情緒あふれる文体で描いた一葉の名作「たけくらべ」をはじめ代表作三篇を読みやすい新表記で収録。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
66
樋口一葉の書く文体が好きでたまりません。やまとことばの美しさを感じずにはいられない代表作ばかりです。特に『たけくらべ』が好き。勝ち気であどけない美少女・美登利とお寺の息子・信如の初恋の物語ですが、とても切ないですね。遊女になることを自覚したときこの恋は終わりを告げなければならないのが悲しいです。一葉は女性の悲しさみたいな心理を素晴らしい筆で描き出していると思います。最初は難しく感じても、読めるようになるとこの文章の素晴らしさが染み入ってくると思いました。声に出して読みたい日本語と言えるかもしれません。2014/07/21
優希
62
樋口一葉の書く文体が好きです。文語で難しさはありますが、紡がれる言葉の美しさが込められていると思います。その代表作と言えるのが『たけくらべ』でしょう。少女と少年の淡い初恋、遊女にならねばならない運命が刺さります。『にごりえ』の成熟もいいですね。『十三夜』は他の2作と全く異なった雰囲気に驚きです。声に出して読みたい大和言葉が詰まっていると感じました。2020/09/07
Koichiro Minematsu
54
新聞記事で樋口一葉の生涯を知り、4月から社会人になる次女へと購入。吉原遊廓近辺の若者の三角模様恋話が、一葉の大和言葉で綴られる。現代版恋キュン物語だろうが、若くして一家を支えつつ、病に倒れた一葉の憧れそのものと読んだ。終わり方が見えないのが、切なさを感じさせる。2020/12/07
優希
44
再読です。おせいさんの古典本で取り上げられていた樋口一葉。久々に読みたくなって手にしました。流麗な文語の調べが好きだなと思います。切なくて不器用な初恋の物語に引き込まれました。淡く悲しい恋物語はいつも私を惹きつけるのですね。2023/11/10
Tonex
43
「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」の3編収録。梗概・脚注・解説・年譜=山田有策。鑑賞=俵万智。▼独自に原文の表記を改変(改行・句読点・会話のカギかっこ)しているのが特徴。◇作家の松原理英子いわく、「集英社文庫は原文の句読点、改行等を大幅に変えてあって、作品を鑑賞するには適当ではないと感じるが、註釈は集英社版がいちばんたくさんつけられていて便利なので、これを辞書として一冊、それから鑑賞用にもう一冊、そのような改変をしていない社の版を買うといいのではないだろうか。」(『現代語訳 樋口一葉 たけくらべ』)2016/05/09