内容説明
香治完四郎。旗本の次男でお玉が池の千葉道場の目録まで進んでいる。しかし、今は竹光を腰に古本屋「藤由」の居候だ。藤由こと藤岡屋由蔵は「広目屋」もやっている。巷の噂を売り買いする、今で言えば広告代理店。完四郎と藤由が組んで幕末の江戸の噂や怪事を解いていく。文を書くのは仮名垣魯文。絵を描くのは浮世絵師・一恵斎芳幾。変格捕物帖の新シリーズ。
著者等紹介
高橋克彦[タカハシカツヒコ]
47年岩手県生れ。83年「写楽殺人事件」で江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。87年「北斎殺人事件」で日本推理作家協会賞を、92年「緋い記憶」で直木賞を、00年「火怨」で吉川英治文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Susumu Kobayashi
8
香冶(こうや)完四郎シリーズ第一弾。時はペリーが浦賀に来港した直後、世情騒然とした時代。完四郎は奥祐筆の伯父を持ち、剣の腕前も卓越しているが、武士に見切りをつけ、携帯する剣も竹光である。現在は古本屋兼広目屋で、瓦版を売る藤岡屋由蔵の店の居候をしている。「広目屋」とは巷の噂を売り買いする、現代の広告代理店みたいなもの。本書は12編の短篇から成る連作短篇集。「かぐや御殿」や「首なし武者」などで完四郎はなかなかの推理力を見せる。完四郎の相棒に、仮名垣魯文が登場。読みやすいのでこのシリーズも読んでしまいそう。2020/05/27
Radwynn
7
集英社文庫『短編復活』に収録されていた「梅試合」を読んで気になっていた香冶完四郎シリーズ。歴史上に実在する人物の若き日の姿も交えつつ、江戸のそこかしこに起こるちょっと不思議な噺を紐解く— 頭も剣も冴えるが平素はいたってのほほん、って完四郎さんがいいねえw 右門捕物帳のむっつり右門さんもそうだったけど、こういう人種は食べ物で釣るのが定番なのかw 舞台は江戸から明治への激動期、ではあるのだけれど、いまだお江戸は華の賑わい、粋なお噺が、多うござんす。先に読んだ『いじん幽霊』よりこっちの方が好きだった。2015/04/29
西澤 隆
6
NHKラジオ文芸館の朗読で聞いた「梅試合」に「江戸時代に『ビラ』?」と思ったのがきっかけで読み始める。ビラって外来語じゃなくて日本語なんですねえ。勉強になりました。というわけで眠ったような日々を生きる才気溢れる人たちの物語は、だけどラノベなどにありがちな「無敵を振り回す」安易さもなく淡々と、しかしちゃんと展開するちょうどよさ。冒頭の「梅試合」のような酔狂を楽しむひとがたくさんいる「江戸」というまち。梅一本一本に触発された「句や川柳のコンペ」に生活に困るような人たちも参戦してくるこの感じに憧れてしまいます。2023/04/21
timeturner
6
「広目屋」というのは広告代理店みたいなものだが、怠け者の完四郎やお調子者の仮名垣魯文が社員(?)なのでブラック企業にはならない。発想源となった広重の浮世絵が華を添えていて藤沢周平の『日暮れ竹河岸』を思い出した。2021/01/04
あいちょ。
4
図書館。 完四郎1作目。 ・梅試合 ※花見小僧 ・化物娘 ・雨乞い小町 ※花火絵師 ・悪玉放生 ・かぐや御殿 ・変生男子 ・怪談茶屋 ・首なし武者 ・目覚まし鯰 ・大江戸大変2023/11/30