内容説明
わたしは銀座のホステス。わたしは韓国人。帽子職人だった母が死んだとき、お得意だった斎藤家のお屋敷に最後の帽子を持って行く。斎藤家の一人息子の誠は、わたしの幼なじみだ。その誠からの求婚。しかし彼がわたしの職業と国籍について「口をすべらせるな」と言った瞬間、わたしは誠の“姿”を永遠に見失った。柔らかな心で、現実を見据えた力作。他に短篇6本収録。
著者等紹介
室井佑月[ムロイユズキ]
1970年2月27日青森生まれ。モデルなどさまざまな職業を経て、97年「クレセント」を発表して作家デビュ。著書に「熱帯植物園」「Piss」「ラブゴーゴー」「作家の花道」がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷっくん
47
令和記念すべき1冊目!自宅の積読の中から(^^;うーん、これは非常に粘り気のある短編集だった…共感度ゼロでどことなく変態系な人ばかり(゚O゚)室井佑月さんは割と面白い人だなぁと思っていたから以外にビックリ!個人的にはpissのほうが好きだけど…これはなかなか読み手を選ぶかもしれない1冊だと思う(^^;2019/05/03
koguma
19
どの話も妙に生々しくてオエッとなった。室井さん、前読んだ「Piss」でも思ったけど、表現が直球過ぎるというか、自分が元気な時じゃないと受け止めきれない部分もあるなと思った。表題作の「血い花」以外は、どの話にも性的虐待だったり狂気みたいなものが滲み出ていて、気分を鬱蒼とさせるには十分である。でも不思議とこういう話が時々無性に読みたくなるもんなんだよね〜2018/04/16
グリーンクローバー☘
8
ちょいとグロいなぁ。しばらくこの方お腹いっぱいかな。2018/03/11
rakim
3
性愛の愛がない行為はひたすら哀しい。自分を保つ為にはどこか開き直って意識だけを醒まさなければならないのだろうか。室井さんの作品は、性描写がとかく言われがちだが、実は必ず何かしらの仕掛けがあって、そこから何かが見える。展望やら強靭な心やら儚さなんかが。2011/11/25
Shinya Fukuda
1
表題の作品以外に6篇の作品が収録されている。赤い花は著者が銀座のクラブ時代に見聞きしたことが反映されている。赤い花とは幸の家にあるシクラメンを指すのだが誠とのS○Xでの出血も連想させる。幸は所謂出来る女性なのだが幾つかのハンディを抱えている。しかし小説上問題ではない。父親とは生き別れである。この父親が最終場面で登場する。この場面が何か唐突で現実感がない。この作家の場合この例が多い。現実と幻想が急に入れ替わる。この展開には戸惑いしかない。植物がよく出てくるのも特徴だ。大人の童話という解説がある。その通り。2023/11/26