出版社内容情報
恋に仕事に結婚に心豊かに打ち込む女の物語。
神戸山手の古い異人館に住む料理と手芸が大好きな主婦るみ子32歳。自宅にアトリエを開き、小物や洋裁の創作に夢中になる一方で、夫・洋の弟にときめきを覚える。そんな妻を、洋は複雑な気持ちで見守る…。
内容説明
神戸山手の古い異人館に住む料理と手芸が大好きな主婦るみ子32歳。夫・洋を可愛く思いながら、時々ふらりと現れる洋の弟・舷に危険なときめきと親しさを感じている。手芸の才能が認められるようになり、自宅に“アトリエ・るみ”を開いた。夢のある可愛らしい小物からお洋服まで、創作に夢中になる妻とそれを複雑な気持ちで見守る夫。結婚生活と仕事の両立に、るみ子は心を尽くしていくのだが…。傑作長編恋愛小説復刊セレクション。
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年3月27日大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。56年「虹」で大阪市民文芸賞。64年「感傷旅行」で第50回芥川賞、『花衣ぬぐやまつわる…』で女流文学賞、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞する。2008年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
86
面白かったです。恋に仕事に結婚に打ち込む女性の姿が豊かに見えました。自分でアトリエを持ち、料理と手芸が大好きな主婦・るみ子は小物や洋裁に夢中になる一方で、義理の弟・舷にときめきを感じるのが可愛らしいなと思います。ちょっとダメなところのある夫・洋ですが、惹かれるところがあったのでしょうね。2人の間には言いようにない何かがあるような気がします。それでも舷に魅力を感じているのは、彼の持つ危険な香りを感じ取っているからなのかもしれません。結局好きになる人は自分の好みなのかなと。洋の複雑な気持ちも納得いきますが。2016/08/21
いずみ
2
ダメな男のかわいさを認めて包み込む女の深みと、夫がいてもときめいてしまう欲深さは一人の女性の中に同居することができる。さらにそれを生きる力に変えるしたたかな面もあり。そんな得体の知れなさを抱えているのが女なんですね。これを軽やかに書ける田辺さんって天才!ただ今回は主人公の夫があまりにひどい気がして、もやもやしたことは付け加えたい。2012/08/31
Yuka
1
ゆったり展開するのでなんとなくモヤモヤ…上巻だけではタイトルの意図も掴みきれず。。 上下巻にするほどの話なのか?と思いつつ、下巻が気になってしまうのは田辺聖子作品の力なのかなぁ。 上巻からはこれぞ!って感じがないので下巻に期待。2016/01/03
tera。
1
出て来る料理がどれも美味しそうで食べたくなります(*^^*) そして旦那さんがチョイだめんず…傍から見たら『どこがいいねん』と思いそうな人だけど、それこそ「言うに言えん」何かがあるのでしょう。弟の舷も懐が広いように見えて、実際はめんどくさそう。夫でも妻でも恋人でも、自分にとって好ましかったらいいのです。そして『コイツ俺(または私)がいてやなアカンねんなぁ』と思わせといたら上手いこと行く事は多々あるのです。2013/06/02
はのん
0
田辺さんの書く夫は、「何こいつ!…」と思えるのが多いな。けど、そこに可愛げを認めて好きだと言える妻もすごいな。私は無理。2012/08/10