内容説明
平凡なOL貴浦志鶴子には幼児期の記憶に空白がある。偶然知り合った露木捨吉の言葉に、幼い頃に親しんだ訛りを聞いて興味をもつが、志鶴子が会う約束をした日に、彼は殺されてしまった。露木の出身地が廃村となった長野東屋敷と判明。得体の知れない恐怖を感じつつ、志鶴子は自らのルーツと幻の故郷を探す旅に出る…。やがて、突き止めた禍々しい過去とは!?著者会心の長編ミステリー。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ。青山学院大学卒業後、ホテルマンを経て作家に。69年『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞、73年『腐蝕の構造』で第26回日本推理作家協会賞を受賞。幅広いジャンルの作品を精力的に執筆。2003年度第7回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二分五厘
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1985.2.28
火星人碧
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貴浦志鶴子には幼い頃の一時期に、記憶の欠落があった。よくあることとして気にせず生きてゆける人もあろうが、志鶴子はその欠落を埋めたかった。電車のなかで偶然に掏摸を目撃したことから、彼女の記憶探しの旅が始まる・・・・・・。しかし彼女が行動した先には、次々と不幸な死が待っていた。連続殺人ではない。彼女の記憶の禍々しい部分がそうさせている、そんな想像もさせる。スリリングでスピーディーな展開で、読者を飽きさせない。2016/08/22
miki
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登場人物の心の表現が少し雑な気がして、思いがけない結末にサスペンス物としては良くできたストーリーだが、読んだ後の余韻が物足りないのが残念。2015/05/05
Tac
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自分の過去を探そうとしたために、周りの人々や自分自身をも不幸に陥れてしまうという、あまり救いのない話です。一生懸命になればなるほど、次々と悲惨な過去が暴き出されていきます。タイトルの「碑銘」は「悲鳴」と掛けているのではないかと思えるような話でした。1974年頃に書かれた作品なんですね。森村誠一も、昔はこのような作品を結構書いていましたね。話自体はテンポよく進み、最初の方は、過去の秘密が次第に明かされていく展開を楽しめるのですが、段々無理が出てくるように思えます。最後は、ここまでしなくても、という印象です。2013/01/15
♪りんまま♪
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あまりにも不幸過ぎ…欠落した過去の記憶を埋めたかっただけなのに…2012/09/13