内容説明
美しい黒髪の妻を自動車事故で亡くした後、再婚したフランス女性も事故で失った画家。彼は奇妙な方法で妻たちを偲び…「二人の妻を愛した男」。妻は“一年に一晩だけ自由にさせて”といった。夫はその願いを長く叶えてきた。だが、妻の秘密を知りたくなり…「女系家族」。女性遍歴の末、愛した女に棄てられた旧友には、驚愕の素顔が…「紅の女」。男女の日常に潜む不可思議をミステリアスに描く短編集。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。国立国会図書館勤務を経て、作家に。79年『来訪者』で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞受賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
67
日常に潜む恐怖が影のようにまとわりつく短編集でした。今の時代に生きる男女の人生と日常の断面を鮮やかに切り取っていると思います。どの作品にも奇妙で深い味わいを感じました。人間心理の描き方が絶妙なのでしょう。キレはあまり感じられないものの、その分熟成した味を味わえました。2015/07/14
KAZOO
57
阿刀田さんの比較的最近の作品集で、12編の短編が収められています。さすがに昔ほどの切れはなくなりましたが、私のような年寄りにはちょうどいいと感じられます。日常生活している人間の心理をうまく表現していく手法は健在であると思います。2015/07/04
優希
53
日常の中に潜む恐怖がまとわりつきます。男女の人生と日常の断面を切り取ったと言えますね。どの短編にも奇妙な味わいがありました。「ほんのかすかに不思議なこと」が奇妙な味になるのですね。2021/06/03
takaC
31
良くも悪くもとても阿刀田高的な12篇。彼の小説を以前ほどには楽しめない今の自分。2012/06/19
ラッキー55
4
影祭り読了。初めて阿刀田さんの作品を読みました。印象としては、世にも奇妙な物語を思い出してしまった。12作品の内、こいのぼり、待っている人が良かったと思います。エンドのはっとする感じが良かった。 他の人の感想だと全盛期の阿刀田さんに比べると、いまひとつという人もいますが、、、2012/08/08