内容説明
日本舞踊会の中心的存在として隆盛を迎えた梶川流。将来も安泰に思えたある日、家元猿寿郎が事故死した…。そして家元の血を継ぐ隠し子たちが、未亡人となった秋子の前に現れる。妹の千春や母の寿々までもが跡目を巡り弟子たちと争いを繰り広げるなか、梶川流を守るため、秋子が選んだ道とは―。因襲の世界で懸命に生きる女たちを描いた波瀾万丈の人間ドラマ。『連舞』に続く傑作長編小説。
著者等紹介
有吉佐和子[アリヨシサワコ]
1931年和歌山県生まれ。東京女子大学英文科卒業。56年『地唄』で文壇デビュー。以後、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を次々と発表し、一躍流行作家に。1984年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小梅
83
「連舞」の続編。女の本当の強さを描かせたら右に出る者は居ないかもしれない。素晴らしい作品でした。2017/08/29
ソーダポップ
37
連舞の続編「乱舞」日本舞踏の家元夫人になった主人公秋子が、突然の事故で夫、家元猿寿郎を失ったところから物語が始まる。家元の血を継ぐ隠し子達が、未亡人となった秋子の前に現れる。芯は通っているもののどこか弱々しかった秋子が目を見張るほどに逞しくなっていくのだ。強くしたたかに。その成長は、読んでいて小気味良ささえ感じる。自らの意思で踊りまた、踊りへの陶酔を得ていくのであった。華やかな世界に生きる女も、市井に生きる女も作者が描く女達は皆んなそれぞれに強いのだ。人間の成長は止まるところを知らないと思わせる作品だった2023/04/08
Yu。
26
寿々‥ それでもあんたは母親なんだよ。。。結局は初代梶川月が遺した墨絵を表した形で終わるというなんとも皮肉めいた物語なのだがそれがすっぽり当てはまるんだなあ… 母親と二人きりで稽古をする主人公の姿が唯一のOFF。2015/08/29
KEI
24
日本舞踊会を背負う存在であった梶川流家元の事故死の後、夫の隠し子達を担ぎ出した弟子、父親違いの妹が自分こそ次期家元に相応しいと跡目争いが起きる。今まで影の様にしていた家元の妻・秋子が流派を守る為に、泥沼の中から自らが家元に立つまでを鮮やかに描いてある。秋子の変化が面白かった。楽屋に起きる様々な出来事を、切り抜け、くぐり抜けた者だけが舞台で踊る事が出来ると言う秋子の言葉と舞の美しい描写の対比が良かった。「連舞」は未読だったが、本作だけでも充分楽しめた。2016/09/15
やどかり
14
連舞の続編。読んでいて秋子の強さが気持ちよかった。自分の意思とは違うステージに立たされたが、その立場に合った人間に育った印象だ。おもしろくて一気読み。まだ続きが読みたくなる本だ。2014/05/24