内容説明
胃がんの父親を父らしく逝かせてあげたいと、懸命な介護をした母娘。「死にたい」と言いだした春さんの心を力づけたケアマネージャー。乳がんの女性が選んだ、夢をあきらめない治療。ベラルーシのタチアナ先生が子どもたちに言い続けた「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。世界中の“いのち”を丁寧に生きる人たち―“病”だけでなく、“心”も受けとめる優しい医療をめざして奮闘する医師のエッセイ集。
目次
命を守るコツ
希望の育てかた
生きるってむずかしい
誰かのために生きたい
恨みの連鎖から優しさの連鎖へ
家族のチカラ
著者等紹介
鎌田實[カマタミノル]
1948年東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。74年、長野県の諏訪中央病院に赴任。一貫して住民と共に作る医療を実践。チェルノブイリの救援活動にも参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつり
6
優しくなければ医療じゃないという信念のもと地域医療に邁進。チェルノブイリやアフガニスタン、イラクなどの犠牲者にも寄り添う。たぶん普通の人の何百倍もがんばってこられた先生が、超人でも鉄人でもない心身を守るために、がんばらないけど、あきらめないというスローガンによって生きてこられたのだなと。一歳で捨てられ養父母によって育てられた。事実を知ったのは青年になってから。お金で代理母を雇い、生まれた子が障害児だと誰も引き取らない、そんなひどいことが起こる世の中。家族とは何か。人はつながりのなかでしか生きられない。2015/05/13
にせものばかり
5
名医もうちでは普通の一父親として苦悩していたのですね・・。2014/03/07
GX
3
「大切なのはその人の生きる意欲や、前向きな気持ちを引き出すこと」「感動のなかに生きる意味が見えてくる」「いつでも、どんなときでも、夢をあたためて生きていこう」「重要なのはその『場』ではなく、その場に漂う空気、空気をつくっている人々だと思う」 医療や介護の世界でこの著者が提供している価値観って、とっても大事だと思う。2016/10/01
maimai
3
日本人は真面目で頑張ることを美徳としていますが、自分の体を省みず頑張った結果うつ病になり、世界の中でも多くの自殺者を出しているというのも事実です。真面目は相手を傷つける刃にもなりうるというのもあります。偏見かもしれませんが、頑張ることというのは自分のやりたくないことを人の目を気にして無理やりしているというイメージがあるので、頑張らなくてもいいという心があれば居心地のいい環境が整うのでしょうか?2015/04/26
kaizen@名古屋de朝活読書会
3
病気や怪我の後のような、その時点では自分ではなんともならないことがあることは理解できる。何かをがんばっていないといけないと思う気持ちもある。 それでも、やっぱりがんばらないことも大事かもしれない。 「命を守るコツ」として、「言葉を受けとめるということ」、「命につきあう」、「言葉が見つからないとき」など。 なんともならないことと、なんとかするというような意気込みではなく、淡々とやっていればよいことがあるのではないかということを思いました。2009/05/07