内容説明
一九五三年、斎藤茂吉と釈迢空という日本短歌界の二大巨星が墜ちた。翌年、一人の短歌雑誌編集者が発想した企画によって新しい才能が発見される。編集者の名は中井英夫。見いだされた新人は中城ふみ子と寺山修司。その時から現代短歌のこころみの歴史がはじまった―。戦後の日本語表現中で異彩を放つ短歌という文芸ジャンル、その半世紀にわたる挑戦と新人群像を斬新な視点から描く。
目次
斎藤茂吉の最晩年と青年時代の中井英夫
1 一九五四年の衝撃
2 閉じきらぬ円環
3 戦争は終った
4 現代短歌の局面
5 昭和戦前といまを結ぶもの
中井英夫の死
著者等紹介
関川夏央[セキカワナツオ]
1949年新潟県生まれ。上智大学中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
368
関川は斎藤茂吉と釈迢空の死(1953年)に短歌の近代の終焉を見、中井英夫プロデュースによる中城ふみ子の登場から現代短歌を望見する。もっとも、中城については「『戦前』という時代の残照」として捉えているのではあるが。そして寺山修司が現れる。私も真の意味での現代短歌の誕生はこのあたりかと思う。以下、最も新しいところでは穂村弘あたりまでの現代短歌界、及び現代短歌の騎手たちを次々に俎上に挙げてゆく。まさに綺羅星のごとき世界である。そして中井英夫の死をもってエピローグを閉じる。異論はあろうが実に見事な構成である。2021/01/02
はち
5
まあまあ。なんだろうな。現代短歌の側面を撫でただけの印象。第二部が一番面白かった。永井陽子読みたい。全集まだ買えるかな。2015/06/19
カツェ
3
綿密に読んでるなと感心。歌も関連資料も。第1部が好き2017/09/20
カツェ
3
知らない歌人列伝として読んでいたが、あらたると、歴史認識と短歌の宿命の話だった。朝日新聞の投稿歌壇への指摘には、いまとなってみれば言い当てすぎてるほど。2014/10/08
kaizen@名古屋de朝活読書会
3
1954年の衝撃 中条ふみ子と石川不二子 寺山修司 現代短歌のこころみとしては強烈。 「短歌はプロに訊け」「短歌パラダイス」 「短歌には「業界外」からの批評が不足しているのではないかという疑いは私の動機のひとつであった」著者 ソフトウェア業界も同じだなと思った。2012/05/03