集英社文庫
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  • サイズ 文庫判/ページ数 196p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784087462333
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「なかなかキュートな足跡なのよ」。恋人が教えてくれた、妖精の足跡の捕まえかた。ぼくが試してみると、本当に歩いた跡が残っていた。そこで、妖精の映像を撮影しようとするが…(「ラブ1からラブ3」)。水没したお台場にできた新国家、廃墟で死を待つ少女、校舎の屋上にある秘密の楽園―。日常の隣りにある小さな奇蹟を、鮮烈に描いた掌編集。単行本未収録の作品を加えて待望の文庫化。

著者等紹介

古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年福島県生まれ。98年に『13』でデビューする。2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞をダブル受賞。06年に『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ 🍀安寧祈願🍀

203
全ての短編から夜雨が薫る。脳裏には現実世界のように鮮明な絵が深く刻まれ奥底に沈む。真白な空間、数多の見えない壁。自らに課せられた時の流れが他者と異なれば障害となり、半歩の躍動も後退も好ましいのか答えがない。一夜にして姿を変えた町、そして自身。今朝と昨夜のどちらが事実で夢なのか、彷徨う思考が充実を崩す。強雨降れば流れ新たな感情を見る。今宵はどちらの世界を歩いていくのだろう。太陽さえなければ冷たい砂が僕を打ちつけてくれる。生存。鳥が羽ばたけば泉の在処を知るだろう。進もう。吸い込まれた先にある別次元へ向かって。2023/06/03

❁かな❁

174
とても好き♡なんだろう。この心地よい春風のような空気感*都会の喧騒を離れ、ぼーっとただ流れる雲を眺めゆっくり過ごすような感覚。古川日出男さん初めて読みました!私にはこの作品がぴったりフィットしたようで今作から読んで良かった♪短い文章から行間を楽しむことができ1つの掌編ごとに旅に出る。お気に入りは「ラブ1からラブ3」「あたしはあたしの映像のなかにいる」「静かな歌」「夏が、空に、泳いで」「光の速度で祈っている」「アルパカ計画」何度も味わいたくなる素敵な掌編集。購入して良かった♡一言で語れない魅力溢れる作品*2018/01/04

あも

89
さっぱり分からん話だろうと思っていたのに、冒頭から心をムギュッと鷲掴まれた。とても良かった。ルールは一つ、音楽とリズムに乗って空間をたゆたうのみ。さらば凝り固まった頭でっかちの常識。【ん】からあいうえおを始めてみる。あなたに向かって後ろ向きに歩き出す。理解は不要。ガラクタの中にある宝物。飛ぶことも歩くことも等しく自由。腕を振って冬の朝に空を見上げ夏の日差しを想う。妖精の足跡、屋上の宇宙、天球の音楽。光も闇も喧噪も無音もすべてが祝福されたギフト。あぁ、俺はどうしようもなく生きているんだな。ありがとう、世界。2017/12/30

masa

86
今は今しかない。そんなの知ってる、つもりなのだけど。実感するのはいつも、今が過去になってから。未来を今から大切にしようと。身構えている、つもりなのだけど。未来がやってきて今になると、見失うんだ。まるで、猫が神様の姿に戻る瞬間を見逃してしまうように。「それは目で視るしかないの。レンズには映らないの。YouTubeでは再生できないの。絶対に」そうだった、と思い出す。カメラを止めろ!あのときの、音楽の残像を僕は耳の中に奏でながら生きる。ハロー神様、と猫に語りかける。神様への贈り物。ひとつの物語を。a gift.2019/03/09

H!deking

80
古川さんの掌編集。うんうん、これはストーリー云々より、言葉のリズム感であったりとか、世界観を楽しむのが良いですな。さすがに全部面白かったとはいわないけど、中にはとてもとてもハマった話もありました!個人的には好みです♪58冊目2018/06/29

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