内容説明
古代遺跡の宝庫、クレタ島。しかし、旅人はひたすら山を目指した―。『ホワイトアウト』の著者が、エーゲ海の最高峰イーディー山の頂に挑み、ヨーロッパ最大の渓谷サマリアを歩き、ギリシャ神話生誕の地と言われる洞窟を見物に行く。そこには、地中海のリゾート地では味わえない素朴で優しい生活があった…。日本人が知らない、驚きのクレタ島見聞録。
目次
はじめに(番組について)
第1章 エーゲ海の頂へ(アニメーションの話)
第2章 聖なる山の教会(山岳小説の話)
第3章 神々の洞窟(慢性膵炎の話)
第4章 古の森(動物の話)
第5章 はるか四千年の道(海の話)
第6章 高地砂漠を越えて(カメラの話)
おわりに
著者等紹介
真保裕一[シンポユウイチ]
1961年東京都生まれ。アニメーションディレクターを経て作家に。91年『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年『奪取』で日本推理作家協会賞および山本周五郎賞を受賞。2006年『灰色の北壁』で新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
105
作者がNHK-BS2(!)の番組においてギリシャのクレタ島にあるイーディー山とパクネス山を登攀する様子を放映することになったことを綴ったエッセイ。「それ」を知ることと知らないこと、感じたことと感じなかったことの差は天と地との開きがあると私は常々思っている。そして「それ」を語る人の言葉も体験者と知識で知るだけの者とでは迫真性が違う。実際に自分の足で山を登ったからこそ、元は『クレタ、神々の山へ』という題名で刊行された本書が文庫化に当たり、『エーゲ海の頂に立つ』といった雄大な題名を付けることができたと私は思う。2019/07/22
gonta19
15
2007/11/28 Amazonにて購入 2011/12/14〜12/19 真保氏がNHKーBS2の番組「トレッキング エッセイ紀行 紺碧に浮かぶ古代の大自然を 求めて ギリシア・クレタ島」に出演した際の経緯を纏めたもの。子供の頃,星座が大好きでギリシア神話の世界にあこがれていたが,未だ一度も行ったことのない国ギリシア。中でもクレタ島は神話の世界にも良くでてくる島で一度是非行ってみたいのだが,真保さんもタイトなスケジュールのために遺跡等にはまったく寄らず,ひたすら山に登りトレッキングをしていた様子が見2011/12/19
ライムとザクロ
7
真保さんがTV番組の企画でギリシャのクレタ島をトレッキング目的で訪れた際の事をまとめた紀行文とエッセイ。『ホワイトアウト』や『灰色の北壁』といった山岳小説の著作がある方だが、そういうものと切り離して読むのが良いと個人の感想として思った。ところどころで、日本をそこまで卑下しなくてもいいのにと思ったが、そういう比較をついついしてしまうのが旅先で出会う物や人の不思議な魅力なんだろうとも思う。つまらなくはないけど、真保さんファンやギリシャ好きとかいう事でもなければ、読まなくてもいいかなという程度の本。 4点/102012/11/08
aoko
3
テレビ番組の依頼で著者がしたクレタ島でのトレッキングを綴ったもの。初日のトレッキングで下山が日暮れ後、というのはガイドさんがいても恐怖だっただろうな、と思う。読みやすいし、私は楽しく読んだけれど、遺跡巡りや風光明媚な場所でのんびりはなく、トレッキングの毎日で、トレッキングや山登りが好きな人、著者のファンの方向けの1冊かな、と思う。2020/11/19
astmee
2
国内でも海外でも現地に行くとTVやガイドブックではわからない「その場の空気」を感じる。この旅行紀にはクレタ島のそれが詰まっていて、西洋世界でも最古の文明の地にとても行ってみたいと思った。しかし便座のないのに耐えられるかどうかは不安w2015/03/22