出版社内容情報
昭和20年戦時下。渋江ら同級生4人はドイツ人少女を長崎まで送り届けてほしいと頼まれる。勇気を出して千キロ以上の決死の冒険に挑んだ少年達の運命。森村版『スタンド・バイ・ミー』。(解説/池上冬樹)
内容説明
昭和20年、戦時下断末魔の日本。凄まじいいじめ、自由を奪われた4人の少年は、お化け屋敷と称ばれる洋館を探検中、ドイツ人の瀕死の母親から娘ザビーネを長崎まで送り届けてと遺言される。およそ不可能な遺託に応えて4人は理不尽な時代に反抗勇気を証明するために少女をエスコート。広島を通過、長崎を躱し、千キロ以上の難旅を越え、使命達成後、4人への愚弄に復讐を遂げる。輝く壮大な青春記。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ。青山学院大学卒業後、ホテルマンを経て作家に。69年『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞、73年『腐蝕の構造』で第26回日本推理作家協会賞を受賞。幅広いジャンルの作品を精力的に執筆。2003年度第7回日本ミステリー文学大賞を受賞。11年『悪道』で第45回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュナイダー
0
初読み作家。作品では小説家が子ども時代(戦時中)の友人たちとでドイツ人少女を長崎に送り届ける冒険小説解説にもあるが、この小説のすごい所は少年少女の冒険を描きながらも、未知の世界に旅立って行く姿も捉えられていることである2016/07/21
wankousan
0
大好きな証明シリーズ、文章、物語の流れ、内容、全てが良かった。ご高齢になって新作が出ないのが本当に残念。彼の戦争体験のエッセイを読んだことがあるがこの小説にも織り込まれていた。戦争に対する思いが強く出た作品だった。2022/01/22
ひつじパパ
0
今年も、8月6日、9日という日が過ぎていった・・。だが、今年は両日がこの本を読んだ事によって違った感じを私に与えた。戦争によって青春を奪われ、生き方まで強制された。でもその中で、厳しい条件下で、本来子供たちが持っている好奇心と未知への欲求を刺激する旅に出発する。その事が余命幾ばくもない渋江を含め、振り返った時、4人にはどんな「心の宝」をもたらしたのだろうか?少し考えてみたいと思う。2019/08/12