出版社内容情報
織田信長の娘、冬姫。信長の血の継承を巡り、繰り広げられる男たちの熾烈な権力争い、女たちの苛烈な〈女いくさ〉に翻弄されながらも、戦国の世を生きた数奇な半生を辿る歴史長編。(解説/村木嵐)
内容説明
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し、デビュー。07年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞、12年『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
122
織田信長の二女冬姫、戦国時代を果敢に生き抜いた戦国武将の妻として芯は強く凛としておごり高ぶら生涯を全うした事に感動を与えられました。2016/01/05
のり
120
父は織田信長。母は○○。諸説はあるようだが真なら凄すぎる系統である。信長も厚い信頼を寄せる蒲生氏郷に嫁ぐが、戦国の世のならいで仇と見なされたり、妬み嫉みの対象にされる。いつの時代も女の戦いには恐々とする。冬姫は両親の良いとこ取りのような女人であり、難局にも屈しない芯の強い方だった。氏郷とは似合いの夫婦であったし、慕われ度も納得。「もず」や「又蔵」の存在は冬姫にとっては最高の財産だった。2020/05/09
chantal(シャンタール)
99
織田信長の次女、冬姫。葉室さんが描く女性は本当に清く正しく美しい。信長の娘であるがゆえ、様々な陰謀に巻き込まれ、何度も危ない目に遭う。それがとてもスリリングで、ワクワクする。嫁いだ先は蒲生氏郷。これがまた良い男。会津若松城を治めていたとは知らなかった。歴史上、影が薄いけれど、素晴らしい武将だったのね。織田信長から家康の天下取りまで、歴史教科書のダイジェスト版を読んでいるようでもあり、楽しかった。「女いくさ」を仕掛けられ、それに堂々と立ち向かった冬姫。戦国の世、女性が生きて行くのも大変だったろうな。2018/09/11
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
92
良かったです。少し前に、安部龍太郎の『レオン氏郷』を読みましたが、本作は氏郷に嫁した信長の二女、「冬」が主役の作品。戦国の世は男達だけのものではなく、女達の間にも生き抜いていくための熾烈な「女いくさ」があったのだということを教えてくれています。殺伐とした感じのものが多い戦国小説の中にあって、葉室さんらしく凛とした筋を通しつつ幻想的な場面もあったりと、戦国ものとしてはかなり印象的な作品に仕上がっているなあと感じました。葉室版、女達の戦国ワールド、なかなかいけてます♪2018/02/04
yoshida
91
蒲生氏郷と織田信長が好きで手にとった作品。蒲生氏郷はその器量を信長に愛され、信長の娘の冬を正室とする。想像よりもファンタジーな要素が多い。戦国時代に生きる女性達、大名家の栄枯盛衰を描く。冬姫が大活躍しますが、それはそれとして楽しく読む。個人的にはより重厚感のある作品が好み。2015/03/10