集英社文庫<br> 原稿零枚日記

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集英社文庫
原稿零枚日記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087451023
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

原稿が遅々として進まない作家の“私"は、取材で訪れた料亭で苔を食べ、アートの祭典で神隠しを目撃する──。夢と現(うつつ)の狭間で小さな声に耳を傾けた日記には何が隠されているのか。小川小説の真骨頂。

内容説明

作家の“私”はなかなか思うように執筆がはかどらない。小説の取材で、宇宙線研究所や盆栽フェスティバルなど、様々な地を訪れる“私”だったが、いつも知らず知らずのうちに不思議な世界へと迷い込んでしまう。苔料理を出す料亭、海に繋がる大浴場、ひとが消えてゆくアートの祭典。これは果たして現実なのか。幻と現の狭間で、作家は日々の出来事を綴り続ける―。日記形式で紡がれる長編小説。

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞受賞。91年『妊娠カレンダー』で第104回芥川賞受賞。2004年に『博士の愛した数式』で読売文学賞と第一回本屋大賞受賞。06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ユメ

71
クラフト・エヴィング商會の『おかしな本棚』で知った本。なかなか筆の進まない作家が綴る日記という形式。とかく現実と幻想を行ったり来たり。日頃から風変わりな生活を送っている「私」だが、小説執筆の取材に行く先々で妖麗な世界に入り込む。その虚実の境が全く読めず、彼方と此方を絶え間無く行き来させられて、次第に目眩がしてくる。不思議な雰囲気に浸っていたら突如人が消えたり、かと思えば消えたと思った人がそもそも「私」の頭の中にしか存在していなかったり。日記の文章は耽美的かつグロテスクで、行間から終始狂気が立ち上っていた。2014/09/04

コットン

70
『九月のある日』から『八月のある日』までの作家による日記風な、でもどこか変わった作品。『胞子文学名作選』で読んでいた冒頭の苔料理専門店の話が一番面白いが、初めは頼まれて『あらすじ教室』を始めた作家があらすじを語る話もシリーズ化しても読みたくなる話。2020/05/31

こばまり

68
どこか自信なさげなそれでいて己の欲望に正直な「私」の存在に、くすくす笑いが止まらない。いとも簡単に別世界に連れ去ってくれる。これから作品に触れるに当たり、まずはエッセイからと思い立ちこの一冊を手に取る人が居たらとドキドキする。2018/05/08

ito

60
エッセイかと思ったら日記形式の連作小説だった。原稿が進まない現実と原稿を書こうとすると始まる妄想の世界を行ったり来たりしている。取材旅行に出かけたかと思えば、自分の小説より他の小説のあらすじをまとめる才能を発揮する。自分の小説は原稿零枚のままだ。妄想しているから現実を忘れてしまうのだろうか。小川さんの自虐的な妄想の世界がおもしろかった。2013/10/12

エドワード

58
作家の洋子先生の忙しくも不思議な毎日。取材で苔料理を食べ、苔の一生に想いを馳せる。趣味の運動会荒らしで麦藁帽子を踏みつけにされる。生活改善課のRさんのトランペットに聞き惚れる。Rさんと作家のWさんと盆栽祭に出かけ、一人で帰る。神社の子泣き相撲で授乳する母親を見て、三島の「金閣寺」を思う。T市の現代アート展鑑賞ツアーに参加すると、参加者が次々と消えていく。先生は類まれな観察眼と旺盛な妄想力をお持ちです。まだまだ奇妙な出来事がありますが、これが、私が洋子先生の「あらすじ教室」で学んだ成果です。(原稿一枚)2013/09/06

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