出版社内容情報
ユーモアと温かさに満ちた名エッセイ
文学修業から、大好きな宝塚、映画、芝居の話など、著者の人生と文学の原点がすべて詰まった一冊。深い教養と魅力があますことなく伝わってくるエッセイ集。(解説/荻原 浩)
内容説明
人の一生、山あり、川あり。才能も資本もちょびッとあれば、それを回し回しして“今のところは”でつないでいく。人生は“今のところは”の連続でええのんちゃうか…。浪花文化、男のイイ顔、明治女の剛腹、父の掌、宝塚観劇、源氏物語の魅力など。歳を重ねるほどにオトナ文化の妙味を発見し、人生を楽しくする秘訣はなにか。老いも死も飄飄と包み込む、ユーモアと温かさに満ちた珠玉のエッセイ。
目次
往時茫々―老来、いよいよ懐かしかりけり(まンねやわ;熊本にて;男のイイ顔 ほか)
そのときはそのときなれど…(啄木と浪花ニンゲン;おっちゃん語録;うちの“頬垂れ”たち ほか)
古典・女のよもやま咄(京の巻;芦屋の巻;宇治の巻)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年3月27日大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。56年「虹」で大阪市民文芸賞。64年「感傷旅行」で第50回芥川賞、『花衣ぬぐやまつわる…』で女流文学賞、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞する。2008年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
78
ユーモアとあたたかさが満ちていました。人生色々あるけれど、「今のところは」でいいではないかという前向きな姿に憧れます。歳を重ねていくことで豊かになる大人文化の楽しみがあるからこそ人生を楽しめるのだと思います。歳をとるのは自然なこと。それを飄々と受け止め、今を生きていきたいです。2018/06/17
双海(ふたみ)
21
語彙が豊富。戦前の教育もさることながら、田辺さんの読書量と言葉への興味関心の強さの結果かなぁという愚考・・・。2015/01/28
アオイトリ
18
おせいさんの滋味豊かなおしゃべりがききたくなる。品高く、平明な芸術を愛する浪花びと。温暖な気候…長い爛熟した文化は屈折したユーモアの優越心を生ましめた、という考察がとても腑に落ちる。感情的に衝突しやすい関東人からすると、その衝突回避の技術や才覚に憧れるなぁ。おっちゃん語録より、才能も資本も、ちょびっとあればええのんじゃ。それを回し回しして、今のところはでつないでいったらエエのんよ。キリキリ理想に向かって無理する自分がゆっくり解ける心地。頼藤和寛先生のあらゆる差異は烏有に帰する、気になります。2022/11/19
NIKE
3
田辺聖子さんのエッセイは軽やかだけど、語彙が豊富で味わい深い。亡くなったご母堂が97才で老眼鏡の上に大きな拡大鏡で月間「文藝春秋」を読まれていた写真の話、印象的。この親にして…なのね。死んだ愛犬の火葬を短編仕立てにした話、フランス恋愛小説についての随想、源氏物語の女性登場人物のこと、ご主人の最後を綴った日記のこと、すべて、からっと軽く、しかし滋味豊か。2013/05/09