集英社新書<br> 苦海・浄土・日本―石牟礼道子 もだえ神の精神

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集英社新書
苦海・浄土・日本―石牟礼道子 もだえ神の精神

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  • サイズ 新書判/ページ数 266p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087211405
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0291

出版社内容情報

水俣病 苦海浄土日本 くかいじょうど 習慣金曜日 ジョニー・デップ 映画みなまた 天草 キリシタン 公害 不知火 チッソ 水俣フォーラム 鶴見俊輔 えた ひにん 島原の乱 苦海浄土日本

内容説明

水俣病犠牲者たちの苦悶、心象風景と医療カルテなどの記録を織りなして描いた、石牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』は類例のない作品として、かつて日本社会に深い衝撃を与えた。だが、『苦海浄土』をはじめとする石牟礼文学の本質は告発だけではない。そこには江戸以前に連なる豊饒な世界と、近代から現代に至る文明の病をも射程に入れた世界が広がる。経済原理優先で犠牲を無視し、人間と郷土を踏みにじる公害、災害。それは国策に伴い繰り返される悲劇である。新型コロナウイルスの蔓延が社会状況を悪化させる中、石牟礼本人との対談、考察を通し世界的文学者の思想に迫る、評伝的文明批評。今は亡き文学者に著者は問い、考える。「石牟礼道子ならどう書いたであろう」と。

目次

序章 石牟礼道子の重層する「二つの世界」(二つの世界;石牟礼道子と「家」;区切りない世界;近代社会と数値;江戸以前の循環型時間概念;鄙と近代の渚で)
第1章 母系の森の中へ(四十数年の想いを託して;石牟礼道子との対談―「近代とは何か、ずーっと考えてきました」;おなごのくせに;おもかさまの哀しみに寄り添う;自殺未遂;高群逸枝との邂逅;母系の森の中へ―古代、女性はリーダーであった;近代的自我とは異なる生命律に身を任せて;「古代の魂」ゆえに)
第2章 闘う共同体(道子が夢想した「新しい共同体」;島原・天草一揆と水俣闘争はつながっている;私たちの春の城はどこにあるのか?;道子は天草四郎の「やつし」;「自分が虫どもに似て来たと思うがのう」;「大切」を知る人々;「もう一つのこの世」の始まり;近代における共同体の喪失;「夢に見るとは、天候のことばかり」)
第3章 もだえ神(悶えてなりとも加勢せんば;「漂浪く」道子の魂;遊行の民として;非人の方法;ひゅんひゅんと移動する神々;日本人に見る「共視」;「境界」を行き来する魂)
第4章 祈るべき天と思えど天の病む(死者と生者をつなぐ文学の役割;水俣の死者たちが再び戻る『不知火』;怨から祈りへ;「死ぬことは死ぬばってん、私どもは死なんもんなあ」;石牟礼道子と話した福島のこと;生まれ変わる力があれば;いのちの声の代弁者として)

著者等紹介

田中優子[タナカユウコ]
1952年神奈川県生まれ。法政大学社会学部教授(近世文学)等を経て法政大学総長。2005年紫綬褒章受章。著書に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫/芸術選奨文部大臣新人賞受賞)、『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』(ちくま文庫/芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ぐうぐう

29
「家」というものに疎外され、女性ゆえの矛盾や苦悩を覚えながら、しかし石牟礼道子は女性解放運動に向かわなかったのはなぜか、と田中優子は疑問を抱く。道子は言う。自我を主張することで誰かが傷つくのではないか、そうなら、女性解放運動よりも新しい共同体を作るにはどうすればいいかを考えた、と。その方向性こそが石牟礼文学の本質だと、田中は気付くのだ。そのような近代的自我の形成にはおよそ関心がなく、魂の拠点を古代の母達に置くのが道子である。(つづく)2021/08/03

かふ

26
石牟礼道子の足跡を辿りなが、家という制度から水俣、さらにもだえ神の精神と解説していく。石牟礼道子というと水俣という事件ばかり思い出されるが人と自然の繋がりにおいて人間が生を営んできた思想の中に古代から伝わる自然神がある。それは獣や虫たちも人と変わらない生を営んできたという水俣の海の姿。チッソを懲らしめるというのではなく、チッソと共に悶えていくという、それは日本人の生活が物質主義によって、失われた世界を想起させるものだ。水俣が天草の乱や東日本大震災と繋がりを持ってその中に生きる人々を晒す。2023/09/16

ネギっ子gen

19
「おわりに」で、著者は書く。<50年。私が石牟礼道子の言葉を心に刻んでから、それほど長い月日がたってしまった。もっと早く書けばよかった、という思いとともに、長く心にとどめておく作家がいることは、とても幸せなことだ、という思いもある>と。わたしと同年生まれの著者の、この思いに納得。そして「もっと早く書けばよかった」を、「もっと早く、しっかり読んでおけばよかった」に変換すれば、そのままわたしの存念に。出逢いには、時がある。盲亀の浮木、優曇華の花。今生での出逢いに感謝して、石牟礼文学にじっくり沈潜していたい。⇒2021/01/24

algon

17
著者は日本近世史を専門とする社会学者。異なるフィールドからの石牟礼道子の分析評論を読みたい思いで借り受けた。著者は1970年から石牟礼に魅せられ、対談を経てついに評論を手掛けるに至った。「苦海浄土」はもちろんだが多くを「春の城」「不知火」などに費やして石牟礼分析に難解な部分、魂やもだえ神の紹介や分析に挑んでいる。その上で自然の中に入り生類たちとの連携を取り戻すことが現代において人間になり直すこと、それらが石牟礼の遺した我々へのメッセージだと説く。難しい部分もあったが著者も熱烈読者の一人。興を持って読めた。2022/05/18

こかげ

15
田中優子さんの発言を動画などで拝見し、その理論的で的確な発言に好感を抱いた。もっと彼女の言葉を聞きたくて著書を検索したところ石牟礼道子さんに関する本書を見つけて即手に取ってみた。石牟礼さんの内に流れる世界観、時間軸を丁寧にひも解く。「この世と別世」「近代と古代」の境を自由に行き来し、しかもその魂の入れ替わりを俯瞰して眺めるもうひとつの視点を持つ彼女の特異性。『春の城』に沿って解説される「もだえ神」「闘う共同体」についてなど…とても興奮して読んだ。2023/09/18

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