集英社新書<br> 実存と構造

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集英社新書
実存と構造

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  • サイズ 新書判/ページ数 186p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087206104
  • NDC分類 114.5
  • Cコード C0236

出版社内容情報

今こそ役立つ実存と構造の考え方とは?
20世紀を代表する思想──実存主義と構造主義。表裏の関係にある両者を、人生に指針を与える思考モデルとして読み解く。サルトルやレヴィ=ストロース、大江や中上を論じつつ、生きるヒントを呈示。

内容説明

二十世紀を代表する二つの思想―実存主義と構造主義。この「実存」と「構造」という概念は、実は表裏の関係にあり、人生に指針を与え、困難な時代を生きるための思考モデルでもある。同時代的に実存主義と構造主義の流れを体験してきた作家が、さまざまな具体例、文学作品等を示しつつ、今こそ必要な「実存」と「構造」という考え方について、新たな視点で論じていく。

目次

第1章 実存という重荷を負って生きる(宇宙の秘密に触れた医学生;「それでも地球は動く」と実存はつぶやく ほか)
第2章 実存を包み込む国家という概念(近代哲学は民衆を救えるか;国家を支える人倫という概念 ほか)
第3章 隠された「構造」の発見(構造は目には見えない;隠された構造があらわになる ほか)
第4章 実存から構造へ―大江健三郎の場合(日本における実存主義文学;私小説は実存主義文学の宝庫 ほか)
第5章 実存から構造へ―中上健次の場合(戦後生まれの文学が始まる;転機となったフォークナーとの出会い ほか)

著者等紹介

三田誠広[ミタマサヒロ]
1948年、大阪生まれ。作家。早稲田大学文学部卒業。『僕って何』で芥川賞受賞。早稲田大学客員教授を経て武蔵野大学教授。日本文藝家協会副理事長、日本ペンクラブ理事などをつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シッダ@涅槃

15
ずいぶんといかめしく堅牢な感じのするタイトル。「実存」と「構造」という長年手につかなかった言葉について知りたくて読んだ。始めの方の「実存」についての説明はハマりこんで読んだが、構造についての説明はやや突飛な印象。ただ「実存」と「構造」は対立概念というより「コインの裏表」という主張や「実存的苦悩は枠組み(構造)の一部である」と認識し、相対化されることで救われる可能性があるという言葉も、目を瞠るものがあり、面白かった。2016/06/28

佐島楓

14
実存を構造で包み込み、「悩んでいるのは自分ひとりではない」と教えてくれるのだという言葉が繰り返される。コンパクトにまとまっていて読みやすい。そういえばガルシア=マルケスも中上建次も未読だった。2011/10/04

Bartleby

11
ひとりの人間は自由で主体的な存在である(実存の側面)、それと同時に個人は大勢の中のひとりでしかなく、ときにわずらわしい制度や社会もその構造にはなんらかの意味がある(構造の側面)。実存と構造は表裏一体。作者の言うように、実存としての自分が直面している不条理を構造の面から自分一人に限ったことでないと相対化することにより救われることは確かにあると思う。でも、社会の中で自分の存在がちっぽけで無力なものであると思えるとき、その人のプライドをぎりぎりのところで守れるのはやっぱり実存の面なのだという気もしました。2011/12/25

ともすけ

7
タイトルからはわかりづらいだろうが、結論としては要するに中上健次と大江健三郎の話である。三田誠広の本は2冊目だが同じ内容の繰り返しであったので彼の本は1冊読むだけで十分であろう。実存と構造からこの世界を読み解こうという趣旨には賛同する部分もあるのだが、それはすでに終わって世界は新しいステージに立っているのだと個人的には感じている。つまりもう時代遅れになっているといった感は否めない。あと、2冊目ということで著者の文章の平易さも気にかかってきたということも付け加えておきたい。内容は正直薄い。2016/02/24

よし

6
難しく、取っつきにくいテーマだったが、思いの他、示唆に富んだ文学論、人生論だった。「人生には指針が必要なのだ。生きづらい時代にも関わらず・・。」「実存という概念は人間を袋小路に追い込むことになる。・・そこからいかに脱出し、前向きに生きることができるか。一つの答えが「構造化」である。自分がかかえている問題を、神秘的な繰り返しの構造の中に埋め込んでしまえば、悩んでいるのは自分一人ではないということが自覚される。」2015/10/11

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