集英社新書
住まいと家族をめぐる物語―男の家、女の家、性別のない部屋

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087202632
  • NDC分類 367.3
  • Cコード C0236

内容説明

家父長が家のすべてをとりしきった「男の家」があった。昼間は不在の男たちに替わって主婦が管理する「女の家」があった。そして、家族それぞれが自分だけの「部屋」を作り、個別の生活を営みはじめた。男の家や女の家があり、やがて性別の希薄な住まいが生まれ、ワンルームの時代へと移りかわる。高齢者や子どもの居場所はどこにあるのか?本書は身近な住まいと街に刻まれている日本近・現代一四〇年の歴史を緻密に読み解きながら、これらの疑問に対して、けっして悲観的ではないアプローチを試みる。

目次

家族と住まいの移り変わり
複数のアドレス、そしてメールアドレス
「いろり端のある家」は「男の家」
長屋には長屋の歴史がある
旧二重構造の成立―「いろり端のある家」と「茶の間のある家」の二重構造
戦争と住宅
敗戦と住宅
占領期マンガの女主人公たちのお家―ベビサン、ブロンディ、そしてサザエさん
公団住宅は「女の家」のはじまり
2DK・団地からニュータウンへ
新二重構造の成立
ここからは「性別のない部屋」?
まとめのマトリックス
住むことは生きること

著者等紹介

西川祐子[ニシカワユウコ]
1937年東京生まれ、京都育ち。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、パリ大学で博士号取得。京都文教大学人間学部教授。専攻はジェンダー論および日本とフランスの近・現代文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たかきょ

3
ジェンダー論の研究者が、近現代の住まいを通して行った講義のまとめでした。住宅の平面構成や時代背景等を紹介しながら、家長制度の長男=男から、核家族の主婦=女、個人の集合=性別なしとしてジェンダーが論じられていました。実際には映像も踏まえての講義らしく、鑑賞後の受講生の感想が興味深かったです。 戦前は農家、戦後は集合住宅の事例が主体なので、地域性の違いや、そもそもの広さの違いもあるようにも。平面図の縮尺を合わせた方がその辺りはわかり易かったのではと思いました。2022/01/10

emi

3
大学の講義をまとめた本のようで学生の率直な意見など垣間見えるのも面白く、新書らしく読みやすい。公開授業を受けたくなる。何故ジェンダー論と建築が?と疑問に感じるが、講義後半に自分事として捉える学生同様、12章はかなり興味深く読んだ。戦後住宅史年表は、マーケティング用の自作の年表に幾つか項目を追加した。それにしても、マイホームを持った途端に自宅滞在時間が短くなったり、リビングの誕生で家族団らんの時間が減少したり、何とも皮肉だ。建築家の自宅も興味深い。住宅の地方性などはもっと掘り下げて他の書籍も読んでみたい。2012/01/06

msykst

3
日本の住まいの社会史を、図式として非常に分かり易く整理する事ができるっす。社会変動を軸にしながら生の様子を浮かび上がらせるっていう方法論は凄く好きだけど、欲を言えば実際の住人がどんなリアリティを持ってたとかどういう風に考えて生活してたのかって話を、証言なりなんなりの資料でで見せて欲しい気もしたっす。もしかしたら「借家と持ち家の文学史」がそうなのかもだけど、読んでないからわかんねぇっす。2009/10/10

ヘンリー

2
大学の授業から起こした原稿らしいけど、講義の反応や学生のコメントをいちいち入れているのがウザイ。おかげで全体に散漫な仕上がり。タイトルにあるテーマがシンプルに伝わるようにしてくれればよかったのに。2009/11/18

シマ

1
親子関係重視の「家」と夫婦関係重視の「家庭」の対立では、家家族は父権、家庭家族は夫権で束ねられるが、ともに和合への強制力を持つ。戦後には公営住宅の形態であるnLDKという設計が現れ、家事作業=主婦=女の家へと推移してゆくが、主婦は強制力を持たないので、一家団らんの時間が持てなってしまう。しかし家庭家族はすでに成り立たなくなってしまっているのに、それへの幻想にとらわれたまま。対して家族関係の現実に即したものとして、山本理顕によるコモンと個室がドアでつながり、各個室の奥に共有空間があるという設計をあげている。2022/12/16

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