集英社新書
動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201888
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0210

内容説明

一九四八年生まれの笠井潔と、一九七一年生まれの東浩紀。親子ほどに年が離れた批評家同士の往復書簡は、九・一一米国同時多発テロ、および、アフガニスタンへの報復攻撃という異様な状況下で企画された。二〇〇二年の二月五日からその年の暮れにかけて集英社新書ホームページ上で公開された往復書簡は、連載途中、対立の激化のため何度も継続が危ぶまれた。批評の最前線で、今、何が起きているのか。そして、両氏の対立の真意とは。妥協のない意見交換を通じて、「動物の時代」という新しい現実に対応する言葉を模索した、知的実践の書。

目次

九・一一と文学の言葉
私と世界と「政治的発言」
八〇年代とフェイクな繋がり
二つの時代と二つの隠蔽
イデオロギー?
戦争の変質、戦争の消失
セキュリティの戦争
八〇年代と「否定神学」の行方
批評が生きられる必要はない
世代間ディスコミュニケーションの構図
だれのために…
言論的「禁治産者」の独り言

「敵」の消失
最後に、自分のために
妄想の時代とサブカルチャー

著者等紹介

東浩紀[アズマヒロキ]
1971年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程修了。99年『存在論的、郵便的』でサントリー学芸賞を受賞

笠井潔[カサイキヨシ]
1948年生まれ。79年『バイバイ、エンジェル』で角川小説賞、98年『本格ミステリの現在』(編著)で日本推理作家協会賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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harass

74
偶然この本を知り即座に購入。批評家小説家の二人による公開往復書簡をまとめた新書。元々ネットで2002年に順次掲載されていたという。9.11事件後について語り合うのであるが、途中から非常に剣呑に。世代と経験の違いというのもあるのだが論議が噛み合わず、すれ違い続け…… 東がここまで怒るのに驚く。東が自身のスタンスを示しちょっと感心。個人的には東と自分は同じ世代であり、笠井の学生運動などの話をされても、笠井の著作を読む時と同じく、ピンと来ないのは確かだ。ありきたりな馴れ合いの対談ではなく非常に刺激的だった。2018/02/23

ころこ

18
往復書簡が不穏なのは、時節の挨拶がなくなる11信からです。ですが、それまでの両者の立場の違いは鮮明で、12信で笠井は東の前では自らを「禁治産者」として宣言するに至ります。それでは、それまでのやりとりで何が両者を決裂させたのでしょうか。団塊世代の笠井は1968年と72年に時代の断絶をみて、その惰性に80年代と90年代があるという認識です。それに対して、団塊ジュニア世代の東は社会の成熟をみた80年代と崩壊の兆しをみせた90年代には大きな意味があると反論します。むしろ、現在に意味が無いとすれば、この往復書簡に何2018/02/18

ndj.

13
世界をより良くしたい、とてらいなく言う東と、そういう発想とは率直に言って無縁だ、と言い切る「生涯一ガキ」の笠井と。議論がかみ合うわけもなく、回を重ねるごとに乖離していくふたりの距離がそのまま世代間のディスコミュニケーションを反映しており、どうしようもないな、と頭を抱えた。2018/01/01

なつのおすすめあにめ

6
あずまんVS笠井潔。1971年生まれと1948年生まれ、やっぱり世代間ディスコミュニケーションが発生してバチバチになってしまうのか……。あずまんの「世界をより良くする」というスタンスと、「生涯一ガキ」の心性を強調する笠井潔とのスタイルウォーズ。しかしほぼ20年経過した現在に読むと、そんな二人は今なおそのスタイルでやっているので、両者にリスペクトを送れるだろう。「あなたの言うガキって、あなたが批判する浅田彰のキッズと同じ表現なのでは?」みたいなクリティカルはあずまんの方が多いけど、これは往復書簡なので……。2024/02/10

なっぢ@断捨離実行中

6
文壇政治に巻き込まれるのを過剰に警戒する東と批評空間をどうしてもスルーしたい笠井が互いに裏読みをしてスレ違いを「演じてる」ようにしか見えないなんとも不可思議な本である。一番印象的だったのは文学や批評が読まれないことへの危機感を率直に表明する東に対して「在野」を持ち上げる楽観的な笠井の態度の落差だ。言論の未来を案じ責任を担おうとする東(後に会社を立ち上げる)とあくまで「生涯一ガキ」無責任で通す笠井。笠井のデタッチメントは何とも親父臭くて恥ずかしい。曲がりなりの「青春」を送った団塊の特権といえばそれまでだが。2017/01/29

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