内容説明
西欧流の科学・技術万能主義が行きづまって久しい二十一世紀を、真に幸福に生きるために、われわれはどうすればよいのか?著者は、幸田露伴の『努力論』をとりあげ、そこに書かれている“気”のはたらきを中心とした東洋の思想を、現代のわれわれを対象にして考え、さらに深め、これこそが日本人にとって最もふさわしく、自然な生き方だと説く。大変革の時代を生きぬくための知恵とヒントに充ちている。
目次
「努力」ということ
自己の革新
幸福をつかむ知恵
努力を積む効果
物を学ぶ四つの目的
日常を生きる知恵
「気」を率いる生き方
さまざまな「気」の働きよう
「張る気」はいかにして起ってくるか
本当の自分を養う
露伴が語る東洋思想の真髄
宇宙の中の「気」の動き
著者等紹介
中野孝次[ナカノコウジ]
1925年千葉県生まれ。東京大学文学部独文科卒業。国学院大学教授を経て、作家活動に入る。『ブリューゲルへの旅』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞、『麦熟るる日に』で平林たい子文学賞受賞(以上河出文庫)、『ハラスのいた日々』(文春文庫)で新田次郎文学賞受賞、『暗殺者』(岩波書店)で芸術選奨文部大臣賞受賞
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感想・レビュー
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ももたろう
2
印象に残った文章。『どんな状況になろうとくじけぬ強さを持つには、日頃から常々自分は何を善と思うか、何を正しく何を不正と思うかなど、真実とは何かに思いをいたし、自分の信というものを作り上げておかねばならぬ。』うん、最近これをするのを完全に怠っている。ここは仕事をする上での核になるとこだから、普段から考えるようにする。通勤退勤時だな。2015/02/02
和田 信久
1
人には色々な状態「気」があることが書かれており、それを踏まえ「福」についての考え方など利他主義でいることの大事さを書かれているように感じました。 自身にも「気」があり、落ち込んだり、季節、天気、時間など色々な物に影響を受けている時もある。人に対しても気遣いが出来ない時だってありますし、でも少しでも元気「気」を与えれる「分福」していきたいと思いました。自然に逆らわす、できない自分も自分であることを認め、あるがまま自然の中の自分でよいのだ!なんかアドラーの影響か?なんでもいいか。'`,、('∀`) '`,、 2021/08/08
ぴーまん
1
久しぶりに力のある名著、自分自身はパソコン世代のへなちょこ読者なので名著を紐解いてあるこの本も紐解くことが完全には理解する事が出来なかったけど、この様な本に沢山触れて行きたい。古き良き文章が現代によりフィットしていると感じる。印象的であったのが、高き目標を持つ努力すること。正道を行き、大いなる目標を持ち、大切にし、深く身をおく事。全ては気であり、身であり、心である。2013/03/14
残心
0
中野孝次氏のことがイマイチ好きになれず、途中で読むのをやめてしまった。 著者は日本の古典や仏教に造詣が深く、著書も多いようで個人的には趣向としてぴったりな気がするのだが・・・。 露伴のことなら渡部昇一先生の本に任せようと思ってしまった。2016/11/22