集英社新書<br> 伊予小松藩会所日記

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集英社新書
伊予小松藩会所日記

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201000
  • NDC分類 218.3
  • Cコード C0221

内容説明

四国に伊予小松藩(現・愛媛県小松町)というたった一万石の小藩があった。この藩で、一五〇年以上にもわたって書き継がれてきた『会所日記』が、小松町に残されている。財政破綻、武士の内職、不倫、駆け落ち、賭博、刃傷沙汰、酔っぱらいの喧嘩や訴訟事など、リストラや不景気に苦吟する現代の中小企業の悲哀にも似た江戸時代の極小藩の庶民の暮らしが、あますところなく綴られている貴重な古文書。本書はその膨大な資料を解読し、今に通じる事件や暮らしのさまをビビッドに描いた「本物の時代劇」である。

目次

第1部 武士の暮らし(小松藩のなりたち;小松藩の概略;会所日記;小松藩の財政状況;古証文;武士の減俸;藩士の食卓;藩札の発行;殿様在国;参勤交代)
第2部 領民の暮らし(駆け落ち;不倫と情死;不思議の記述;領民;娯楽;目明し;盗品と暮らし;他領との交渉;善政;泥酔;海防;越後従軍)

著者等紹介

増川宏一[マスカワコウイチ]
1930年長崎市生まれ。旧制甲南高校卒。その後、将棋史や盤上遊戯史などの研究に没頭。大英博物館リーディングルーム・メンバー、遊戯史学会理事、将棋博物館顧問などを務める。また賭博の研究でも有名
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

32
伊予小松藩一万石は領民一万人、武士は数十人で最小規模の外様大名。本書は、家老等が政務所(会所)で書いた百五十年分の業務日記の解説と分析。親藩と天領に囲まれ、改易を避けるため領民の不満に気を使う。小さくても参勤交代は免れず、常にひどい借金。でも小さいお陰で、暮らしや行政の実態がよく見える。借金を誤魔化そうとしたり、米一俵の紛失で大騒ぎしたり、殿様の奥方が内職していたり。微笑ましくもある一方で、藩札の発行は詐欺まがいだし、女性の身分はとんでもなく低い。幕末の官軍出兵も五十人が精一杯という所も実にリアル。2019/02/21

OjohmbonX

3
江戸時代を通じて取潰しも転封も免れきった小藩の記録。1万石で藩士70人+足軽等100人って規模感としては中小企業くらいだろうか。武士と農民の間の境目は想像よりも緩やかで、姻戚関係を結んだりしている。分類上は百姓でも現実にはみんな兼業農家で多彩な職業を持っていて、むしろ農業の方が副業のような人もいたり、商人や庄屋も一代限りで苗字帯刀を許されていたり、イメージよりずっと柔軟性のある世界だ。訴訟関係、係争処理の話も現代との価値観の違いが見えて面白い。2019/12/21

ワッピー

3
四国の小藩(藩士100人程度)である小松藩会所の記録。武士だけでなく、農民や町人の事件も等しく扱い、当時の生活感がよく伝わってきます。藩の経営は決して楽ではなかったため、少ない人数で切り盛りしていた大変さは、現代の零細企業以上かもしれません。この藩の特筆すべきところは、藩士が学びを希望したときには寛大に認め、人材と認めれば召し抱え、あるいは身分の低い者でも抜擢をしたこと、そして非常の際には民の苦しみをできるだけ軽減するよう努めていたこと。小藩だからできたのかもしれませんが、現代でも実現は難しいことですね。2014/09/13

ローリー

3
先日『武士の家計簿』を読んで、久しぶりに読みたくなったので実家の本棚を探し出して読みました。いつの世も人間のすることは同じと言うことで。酔っぱらってケンカして、あげくに刃物で斬りつけてなんてことは現代でも起こっている事ですし、賭博で捕まる人もいるし、単身赴任中に奥さんに駆け落ちされちゃう人もいる。おまけにほとんど領地もない1万石程度の小藩だと、士農工商の壁が結構薄かったりして、そんなに堅苦しくもなかったんだなぁと、そんなことも思いました。しかし、十年ほど前とはいえ読んだのにほとんど覚えていないものですね。2011/05/15

おらひらお

2
2001年初版。愛媛県に存在した1万石の大名家で代々書き続けられた会所日記からその姿を導きだしたもの。本書で描かれている内容は、まさしく現代の町役場の姿を描いたものでした。2012/03/04

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