内容説明
芭蕉の句の特長は「連句」にあるとおもわれる。「座」の文学としての「連句」は、人々の会話と似ている。連続する心を保ちながら即興性をもち、しかも人事の物語性の芽や展開を詠みこんでいるおもしろさである。暗示のような言葉から主題がすべり出し、次々と成長し、また転換する。ともに楽しみあうのである。いずれも前句との関係でつながってゆく。発句はモノローグであるが、「連句」はディアローグ(対話)である。本書は俳諧という芸術のあり方を、芭蕉がどのようにみていたかを、時代を追って検証する
目次
芭蕉、伊賀上野の頃
俳諧への志と『貝おほひ』
談林風と江戸下向
隠者への道
『野ざらし紀行』
深川の庵
『笈の小文』
月の友
『おくのほそ通』
幻住庵と落柿舎
軽み
連句『ひさご』
連句『猿蓑』
近江から再び江戸へ
晩年の芭蕉
芭蕉の芸術論
著者等紹介
饗庭孝男[アエバタカオ]
1930年大津市生まれ。南山大学文学部フランス文学科卒。パリ大学、国立高等研究院に留学。現在、青山学院大学名誉教授。文芸評論家。日本と西欧文化の美意識について追求した評論で知られる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。