出版社内容情報
焼け野原の占領下日本で、逞しく生きる人々
第9巻「さまざまな8・15」と対をなす巻。焼け跡に闇市が生まれ、街には進駐軍兵士が闊歩する占領下の日本。その中で生きる庶民の活き活きとした姿を大江健三郎、野坂昭如、遠藤周作らが描く。
著者等紹介
志賀直哉[シガナオヤ]
1883(明16)・2・20~1971(昭46)・10・21宮城生。東大国文科中退。07年4月、武者小路実篤、正親町公和、木下利玄と文学読合せ会「十四日会」を始める。08年7月「十四日会」同人と回覧雑誌「暴矢」を開始。10年4月、雑誌「白樺」創刊、「網走まで」を発表。13年1月、第一創作集「留女」刊(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころりんぱ
42
占領下の日本を舞台にした作品を集めてあるこの巻、戦後混乱期の浮浪児、パンパン、傷痍軍人、戦犯、それはそれは酷い有様の人たちがたくさん登場する。屈辱的でやるせない鬱屈した心情や、住む家も食べるものもままならないが生きるために這いつくばっている日本人たちの日常風景が描かれている作品が多くて、気が滅入ってしまう。読まねばわからぬ当時の日本人の姿がこれでもかと目に浮かんで、とても哀しい気持ちになった。木下順二「神と人とのあいだ」は東京裁判を描いた法廷劇で、東京裁判の本質的な問題に切り込んでいてとても良かった。2016/12/25
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
6
敗戦、占領下の日本というテーマだったが、収録作は想像していたもの(焼け跡ニッポンの光景がジャンジャン描かれている)とかなり違っていたので戸惑った。作品の選定はやや難解と感じたが、それでも野坂昭如の『あゝ日本大疥癬』大江健三郎『人間の羊』などは強く印象に残った。2014/11/09
勝浩1958
5
野坂昭如著『あゝ日本大疥癬』は空腹のあまりDDTを食べようとするシーンで始まるのだが、可笑しさのなかに戦争がもたらした悲劇を見事に描いていて、野坂氏のひとに対する優しさの深さは測り知れない。田中小実昌著『ミミのこと』も氏の優しさが感じられる素敵な作品だ。大原富枝著『こだまとの対話』ではスパイ容疑の原住民を海に投げ捨てた罪の意識を背負って生きてきた男たちの悲しみを描いている。特に、最後のシーンが印象的であった。2013/06/18
元気伊勢子
4
この本を読み、自分は視野が狭かったのだと実感。戦争は、世の中や人を変えるということを忘れてはいけないなと思った。2022/02/26
ゆきえ
3
遠藤周作がいちばんよかった。2013/11/05