出版社内容情報
日本人は敗戦の日を、どのように迎えたのか
敗戦という未曾有の経験。捕虜、抑留、引揚げ、復員。さまざまな土地でさまざまな立場で迎えた8・15。混乱の新生日本の姿を、井伏鱒二、島尾敏雄、河野多惠子、藤原てい、林芙美子らが描く。
著者等紹介
中野重治[ナカノシゲハル]
1902(明35)・1・25~79(昭54)・8・24福井生。東大独文科卒。26年4月、西沢隆二、堀辰雄らと同人誌「驢馬」創刊。27年7月「プロレタリア芸術」創刊に参加、編集に携わり、詩、小説、評論を発表。30年4月、女優の原泉と結婚。31年夏、日本共産党入党。32年4月、治安維持法違反容疑で逮捕されるが、34年5月、転向により出所。45年6月召集、長野県小県郡に駐屯、当地で敗戦。11月、共産党に再入党。12月、新日本文学会創立に参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころりんぱ
41
さまざまな8.15というテーマですが、8.15当日ということではなくて、その頃という感じ。日本国内に限らず、東南アジア、ソ連、満州、ブラジルと様々な場所が舞台になっていて、日本人が敗戦によって負ってしまった運命が、場所、立場によって違うことが感じられる巻だった。信じてきたものが崩れること、体制が変わること、敗戦が人々の暮らしや精神に与えた衝撃は想像を絶する。特に我羅馬テント村、雪の宿が印象に残った。2016/11/05
勝浩1958
4
長堂英吉著『我羅馬テント村』でのサヨという娘が沖縄に駐留米軍の兵に強姦され身ごもったその赤ん坊を彼女の母親が捨てに行く場面やたける少年は父親が米兵に射殺されたことを知らずに、父の帰りを言いつけを守ってテントの中で待ち続け餓死する話などは、沖縄での惨劇のほんの一例に過ぎないと想ってしまう。 梶山季之著『性欲のある風景』では牛の交尾を目撃したことにより招集されて戦場で死んでしまう前に女体を知りたいという情欲に翻弄される主人公の姿が痛々しい。霜多正次著『波紋』では戦時の捕虜が敗戦後の捕虜に異端視されるのを知る。2013/06/09
西野西狸
1
羅馬テント村は、沖縄の負の場面が描かれていて非常に印象的だった。テントで餓死する少年の場面は火垂るの墓を思い出してしまった。2014/06/21
てまり
0
山風の同日同刻みたいな、その瞬間を凍結したやつかなと思ったらそうでもなくて、敗戦特集ということ。その瞬間のショックのみがテーマというわけでもなく、わりと他の巻にもそういう内容が多いので、パンチに欠けた印象だった。2013/02/23
Kanako Kondo
0
心にぐっときた2018/04/30