出版社内容情報
遠くて近い戦争を、改めて知る試み
開高健や沢田教一ら、作家や戦場写真家たちがベトナムで見た戦争の真実、日本国内での戦争の影響を描いた小田実、中上健次たち。小説とルポルタージュを収録し、ベトナム戦争の本質を描き出す。
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930(昭5)・12・30~89(平1)・12・9大阪生。大阪市立大法学部卒。45年、学徒動員中に終戦。50年、谷沢永一編集の同人誌「えんぴつ」に参加。58年「裸の王様」で芥川賞受賞。64年11月、朝日新聞社臨時海外特派員として、ベトナム戦争の取材に出発。翌年2月、南ベトナム解放民族戦線に包囲されるが、死地を脱出して帰国。同年5月、小田実らと「ベトナムに平和を!市民文化団体連合」呼びかけ人となる。72年「夏の闇」での文部大臣賞を辞退。79年「玉、砕ける」で川端賞受賞。81年、菊池寛賞受賞。「輝ける闇」(毎日出版文化賞)「耳の物語」(日本文学大賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころりんぱ
54
凄い作品集です。小説もルポタージュも解説も、どれもこれも。歴史の中の出来事、単語、イメージでしかなかったものに、肉付け色付けが出来るところがとてもいいです。集められた作品の著者は聞いた事がある名前の人たちで、特にカメラマンやジャーナリストは当時たくさんベトナムに取材に行っていた事がわかります。名を上げたいという野心もあっただろうけど、実際の戦場でのルポは死と隣り合わせ…想像を絶していました。また前線基地だった沖縄が舞台の小説も、先日の元海兵隊員による女性殺害事件の印象が結びついて、ひどく心に残りました。2016/06/08
sasha
9
アメリカ・ジョンソン大統領による北爆停止表明が出た時に取材でハノイに滞在していた松本清張の運の強さに驚嘆。その清張のルポ「ハノイからの報告」も秀逸。「ベトナム戦争」で括っているが一ノ瀬泰造の作品の舞台はカンボジアなので、「インドシナ」で括れなかったかな・ベトナム戦争と言えば強国アメリカにアジアの小国が勝った戦争であるが、アメリカの前にはフランスとの戦いがあったんだよね。その辺りの日本語で書かれた作品はないのかな。2019/06/02
勝浩1958
9
私のリアルタイムに脳裏に焼き付いているヴェトナム戦争のシーンは、アメリカ空母の甲板からヘリコプターを海に投棄しているところでした。もちろん、その後数々のドキュメンタリー番組や報道写真によってヴェトナムの惨劇を知りました。この作品集の中では、開高健著『姿なき狙撃者!ジャングル戦』では戦場の生々しさを、小田実著『戦争』ではヴェトナム戦争の北ヴェトナム軍の兵士であり、のちに作家となったバオ・ニンの『戦争の悲しみ』を知ることができました。2014/05/10
てまり
3
すっごく男くさい執筆陣。前半はジャーナリスト魂、後半は60、70年代の青春。辺見庸、堀田善衛、開高健と、この時代ならではの厚いガラスみたいなロマンチシズムがいいですね。ショートショート的なひっくりかえしを使った吉岡忍の作品も、他とは一味ちがうひっかかりがある。2012/09/08
和泉花
2
複雑でかなり難しかったです。まさしく泥沼というかんじ。今度ベトナム戦争を題材にした映画をいくつかみてみよう。2021/06/09