病院で死ぬということ

病院で死ぬということ

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  • サイズ B6判/ページ数 223p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784079368360
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

内容説明

これは、すべて事実をもとに書かれた物語である。その年の1月12日未明、ひとりの男性が死んだ。末期食道ガン。この患者の最期は悲惨なものであったが、病院での死としてはけして珍しいものではない。末期ガン患者の多くは、多忙な一般病院の医療システムの中で見捨てられて死んでいくのが現状だからだ。人は90%が病院で死ぬ。だが、今の病院は人間らしく死んでいくのにふさわしい場所ではないということを知ってもらいたい。16年間で1万人の患者とかかわってきた外科医が、医療者としての痛惜の思いをこめながら現在の日本の終末期医療の現状を変えたい、いや変えうるのだ…と訴える。

目次

ある男の死
密室
脅迫
シベリア
希望
僕自身のこと
15分間
パニック
5月の風の中で
約束
「息子へ」
そして、僕はホスピスを目ざす

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

106
一冊の本との出会いが人生を変えることがある。現代は日本人の大半が病院で最期を迎える。その【死】は誰のものなのか? 80年代、医療現場では、回復が見込めない患者に対しても儀式のように延命治療や蘇生処置が行われていた。死は患者本人の手を離れて、医療関係者の手に委ねられた。この状況に疑問を抱いていた医師は、キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』を読み疑問が確信に変わる……。事実に基づいた10の物語を通して自分の進む道を定めていった様子が語られている。本書の出版は20世紀最後の年。山崎医師の挑戦は今も続いている。2015/10/18

やいっち

49
1990年頃に読んだ。当時 論議を巻き起こした。時代に先んじていた。

チャーリブ

47
1990年初版。医者である著者が、末期がん患者の最期の様子をリアルに描いています。小説のような文体なので死んでいく患者の姿が我が事のように心に迫ってきます。正直読むのが辛くなる箇所もありました。当時はまだがん告知が標準化されていない時代。告知を巡る葛藤は私自身も経験したので痛いほど分かりました。父親の最期の姿がちらつきました。そして著者は医療現場の不条理から人間的なターミナルケア、ホスピスへの道へ進むことを決意するのです。30年以上経って終末期医療の現状はかなり違ったものになっていますが歴史的名著です。◎2022/12/03

emi

36
人生の幕引きの仕方について具体的に考えた事があるかどうかは、年齢や経験や環境によって差があると思う。仮にあったとしても、そこにはどこか楽観的な余裕を持った意見も多数だが、実際にもう治らない病気になったら、そんな余裕はどんな辛抱強い人間でも吹き飛んでしまうのだとこの本を読んで痛いほど思い知らされた。死に場所を病院に選ぶのはなぜ危険なのか。末期ガン患者と向き合ってきた著者が語る、医療関係者、家族、そして患者自身の考えを見直す理由。嘘はお互いを苦しめる。大切なのは孤独を感じず最期の瞬間まで自分らしく生きることだ2015/10/25

James Hayashi

24
日本のターミナルケアの在り方に疑問符を投げかける現役(当時)医師の著作。25年以上前の作品であるが、それ以降日本の病院は変化があったのであろうか?隠され続けられる病名。患者の選択の余地のない医療。当書でも取り上げられているが、キューブラーロスの著作は終末医療のバイブル。コネチカット州のホスピスには保育園が併設されているという。毎日登下校時に病院を通り、患者との触れ合いがあるという。これこそ本来の社会でないか?生と死は決して離しては考えられない。岸部一徳主演で映画化。日本エッセイストクラブ賞受賞。2016/02/11

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