出版社内容情報
芥川や谷崎の文学はニキビから生まれた、人間の魂や精神の座は顔や皮膚にあるのだらうか……など、顔や皮膚に現れた病変と人間心理の関係を鋭く追究した好著。
①芥川や谷崎の文学はニキビから生まれた②「痣のうえに日は落ち痣のうえに夜が明ける有難や」③人間の魂や精神の座は顔や皮膚にあるのか④ハンセン病…かくも長きかくも酷い差別があっただろうか⑤世間は皮膚にできた異常を容赦なくさらし者にし、差別の対象とする⑥皮膚は差別と偏見の対象になりやすい「曝されの臓器」なのか⑦ナポレオン、タムシと格闘。英雄も最後は屈服せざるを得ず⑧吉田松韻は疥癬の故に渡米できなかったのか⑨「ぼくは言はば社会のいぼですよ」。イボに託した山頭火のレジスタンス⑩顔のホクロは美やセックスアピールの象徴か、目障りな厄介ものか⑪ソバカス…『にんじん』『赤毛のアン』の名作を思い浮かべるが⑫画家や作家の筆を止めるもの、汝の名前は帯状疱疹(ヘルペス)⑬鼻に人間がくっついている。人間は鼻の付属物にすぎない⑭「皆わたしの顔を見ておかしな顔をして帰っていきます」⑮映画「エレファントマン」の病がわたしちに語りかけるもの⑯だれでも、いちどはかぶれるんじゃ。皮膚も心も…。⑰「手首自傷症候群」―それは秘密の狂気、それは麻酔の如く…⑱髪は不安のセンサーなり。円形脱毛症は不安の象徴なり⑲八万四千の毛穴ごとに人生の喜怒哀楽が隠れている
内容説明
ニキビ、あざ、ソバカス、あばた…皮膚に現れた病変がなぜかくも深く文学や人生、歴史に影響を与えるのか。
目次
芥川龍之介と谷崎潤一郎の文学はニキビから生まれた…
「痣のうえに日は落ち痣のうえに夜が明ける、有難や」
人間の魂や精神の座は、顔や皮膚にあるのだろうか
ハンセン病…かくも長き、かくも酷い差別があっただろうか
世間は、皮膚にできた異常を容赦なく曝しものにし、差別の対象とする
皮膚は差別と偏見の対象になりやすい「曝されの臓器」なのか
ナポレオン、タムシと格闘。英雄も最後は屈服せざるを得ず
吉田松陰は疥癬の故に渡米できなかったのか
「ぼくは言わば社会のいぼですよ」。イボに託した山頭火のレジスタンス
顔のホクロは美やセックスアピールの象徴か、目障りな厄介ものか〔ほか〕
著者等紹介
小野友道[オノトモミチ]
昭和41年熊本大学医学部卒業。平成3年より熊本大学医学部皮膚科教授、平成14年4月より同医学部長。日本皮膚科学会理事。タイ国立皮膚病研究所客員教授。専門領域は皮膚科学、特に皮膚腫瘍、色素異常症
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