出版社内容情報
梶 よう子[カジ ヨウコ]
著・文・その他
内容説明
新任書院番として登城を心待ちにする鍋次郎に奇妙な出来事が起こる。町で出会った老武士が土下座して突然許しを乞うのだ。実は、鍋次郎は城内での理不尽な侮蔑に対する復讐を遂げた書院番の息子だった。育ての親がひた隠しにした本当の親の素顔とは?史実・松平外記刃傷事件、驚愕の真実が明かされる。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。’08年『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
48
陰湿すぎるような気がしました。主人公が理不尽な侮蔑に対する復讐の息子というのに鳥肌が立ちますね。最後の終わり方にじんときます。2021/06/13
バニラ風味
20
鍋次郎は妻が懐妊し、自身も西丸書院勤めが決まり、ささやかな幸せを感じていた。しかし、ある日、出先で鍋次郎の顔を見た武士が、ひどく狼狽し取り乱すのを見て不審に思う。自分は一体、誰に似ていたのか。それを機に自分の本当の出自、真の父母のこと、過去の壮絶な事件を知り、憤りを覚える。題の「ふくろう」は真の父が、鍋次郎に残した手作りの根付けのこと。自分の現在、父の過去を照らし合わせ、鍋次郎は悩み、自分がたどるべき道とは、を考えさせられる。悲しい話だが、後口は清涼だった。2016/01/06
えりまき
18
2022(331)実際に起きた事件。江戸時代のパワハラ。暇つぶしの新人いびりは、逃げ場のないひどい話で、読んでいてムカムカしました。殺してから自殺してしまうのは凄まじい。ハラスメントは昔から全く変わらないのだと残念です。 2022/12/31
蕭白
10
前半のコミカルな雰囲気は大好きでしたが、後半の主人公の父親についてのくだりは読んでいて胸が痛くなりました。エンディングはこれでよかったと思いました。2016/05/01
タツ フカガワ
9
旗本の伴家で嫡男の鍋次郎が西丸書院番士として出仕することに。ところがある日鍋次郎は、自分が伴家の養子で、実父は江戸城内で5人を殺傷した松平外記だと知る。同じ書院番士の外記が受ける嫌がらせが凄まじく、疑心と怒りと抑制を繰り返す外記の胸の内は読むのが辛くなるほどでした。のちに「千代田の刃傷」と呼ばれる史実の内側は、現代のハラスメントとなんら変わらない。が、「ふくろう」に込めた外記の愛が感涙となりました。2018/06/19