講談社学術文庫<br> 近代日本思想の肖像

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講談社学術文庫
近代日本思想の肖像

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  • サイズ 文庫判/ページ数 364p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062920995
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0110

出版社内容情報

吉本隆明、丸山真男、三島由紀夫、村上春樹など、文学と哲学を縦横無尽に横断し、近代日本とはなにかを問いなおす刺激的な論考。

吉本隆明、丸山真男、三島由紀夫、村上春樹など、文学と哲学を縦横無尽に横断し、近代日本とはなにかを問いなおす刺激的な論考。

【著者紹介】
1958年生まれ。千葉大学助教授、京都大学教授を歴任。日本を代表する社会学者の一人。著書に、『ナショナリズムの由来』(毎日出版文化賞)、『行為の代数学』『身体の比較社会学』『量子の社会哲学』『近代日本のナショナリズム』など多数。個人思想誌「THINKING O』主宰。

内容説明

日本の近代史においては、文学者や文芸批評家が、思想の中心的な担い手となってきた。もちろん、広く影響力をもった哲学者もいるが、近代日本思想の影響力の中心につねに文学があったのは、なぜなのか。吉本隆明、柄谷行人、三島由紀夫、丸山眞男、埴谷雄高など、文学と哲学が交錯する地点でその思想の特質を再検証する。注目の社会学者の力作論考。

目次

“ポストモダニスト”吉本隆明
柄谷行人、予言の呪縛
原罪論―廣松渉とともに
〓(そう)扎の無思想―竹内好のナショナリズム
丸山眞男ファシズム論のネガ
トカトントンをふりはらう―丸山眞男と太宰治
明治の精神と心の自律性―漱石『こゝろ』講義
啄木を通した9・11以降―「時代閉塞」とは何か
ブルカニロ博士の消滅―賢治・大乗仏教・ファシズム
三島由紀夫、転生の破綻―『金閣寺』と『豊饒の海』
男はなぜ幼子を抱いたのか―植谷雄高『死霊』論
村上春樹『アンダーグラウンド』は何を見ようとしたのか
世界を見る眼―村上春樹『アフターダーク』を読む
巫女の視点に立つこと
まれびと考―折口信夫『死者の書』から

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

43
思想・文芸批評集。『まえがきにかえて』から相当に気合が入っている。東浩紀を引いて、日本には哲学が定着しないで文芸批評が代替したという歴史観を、ラカンの日本語に対する洞察と共に論じる。日本における文芸批評は、普遍性を具体性へ照準することに失敗した結果のようにみえる。しかし、特異性から普遍性への回路が開かれるのは、有限性によって生じる残余が無限性に他ならないからだという。やはり思想を直接扱ったものは難易度が高い。『〈ポストモダニスト〉吉本隆明』は吉本の読みに唸らされるし、『原罪論-廣松渉とともに』は著者の結晶2023/02/28

壱萬弐仟縁

11
大逆事件と9・11(185頁~)。グローバル資本主義を支える社会民主主義的な体制をとる。<社会学する>とは、社会的な水準にさまざまな秩序(あるいは反秩序)を形成せざるをえないわれわれの経験が、どのような構成をとっているかを認識すること。社会的であるほかないわれわれの経験が、どのようなものであるかを<見ること>(291頁)。学問する、とはどうなのだろうか? 学んでから問う。なぜか? と。経験を重視する著者の該博な知識で社会を科学している。2014/02/03

amanon

4
前書きでの、日本における思想の担い手は哲学者及びアカデミシャン ではなく文学者や文芸評論家であったという指摘には考えさせられるものがあった。元哲学の徒であった者として、哲学の専門タームが結局一部の者の間でしか通用しないという状態が未だに続いていることに一抹のもどかしさを覚えた次第。後、柄谷が書いた文章に「ぎこちなさ」を覚えるというくだりには、自分が柄谷の文章にずっと感じていた何かが一挙に理解できたようで、驚愕を覚えた。その「ぎこちなさ」で読者を引き込ませるところが柄谷の魅力でもあるのだけれど。2015/09/25

静かな生活

1
良くも悪くも大澤真幸的。文学的ではないが、仔細な現象をここまでビックスケールにできるとは。2022/09/08

R

1
文学作品は作者の創造の産物であるけれども,作者は自分の住んでいる時代の状況を全く無視して創作するわけにはいかない。必ずその時代の影響を受けるし,無視しようとしても無視されたものが,そのもの無いという「不在」によってその存在が浮かび上がってしまう。オーウェルの「1984年」はある未来のことを舞台にした小説だけれども,当時の監視国家への恐怖が描かれている。だから文学作品を分析することによって,作者が当時の社会のどのことを意識しているかを明らかにすることが出来る。文学を社会学する。2018/12/28

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