講談社学術文庫<br> 大川周明―ある復古革新主義者の思想

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講談社学術文庫
大川周明―ある復古革新主義者の思想

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  • サイズ 文庫判/ページ数 245p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062919364
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0110

出版社内容情報

社会主義による変革を目指した青年は、やがて日本精神に目覚めアジア主義の理論家となる。戦犯となった大川周明の評伝。「始末に困る」至誠の人の思想形成と生涯。 荘内中学から五高時代、社会主義による変革を目指した青年はやがて日本精神に目覚めアジア主義の理論家となる。指導的宣伝家として戦犯となった大川周明の評伝。

学術文庫版まえがき
序 章 日本ファシズムと大川周明
第一章 若き社会主義者
第二章 人生の転機──日本とアジアへの目覚め
第三章 アジア復興と国内改造
第四章 破局への道
第五章 東京裁判以後
あとがき
参考文献
大川周明略年譜


大塚 健洋[オオツカ タケヒロ]
著・文・その他

内容説明

旧制荘内中学で社会主義に共鳴し、五高時代には黄金万能の資本主義社会打倒を訴えた扇動的学生・大川周明。帝大での宗教学研究から敬天・愛人・克己の思想を深め、さらに日本精神への回帰、アジア主義へと展開する思想的経路はいかなるものだったのか。また大東亜戦争の理論家として破局へと向かう道行とは?「始末に困る」至誠の人の思想と生涯。

目次

序章 日本ファシズムと大川周明
第1章 若き社会主義者
第2章 人生の転機―日本とアジアへの目覚め
第3章 アジア復興と国内改造
第4章 破局への道
第5章 東京裁判以後

著者等紹介

大塚健洋[オオツカタケヒロ]
1958年(昭和33年)、広島県に生まれる。1985年、京都大学大学院法学研究科修士課程修了。京都大学法学部助手を経て、姫路獨協大学講師、助教授、教授。現在、姫路獨協大学長。専攻は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

71
高校日本史の教科書レベルでは、戦前のいくつかのクーデターへの関わりと、東京裁判でのA級戦犯リストに名前が出る程度で、「右翼」の一言で片付けられている。本書によれば(最終章に端的にまとめられている)日本精神という右翼的な思想(ただし観念右翼とは異なり、批判精神も併せ持っていたことが本書からうかがえる)のほか、内政で統制経済、外交ではアジア主義(ただし中国との関係については錯綜があるようだが)であったという。博識であると同時に行動的で、一方自身の利益にはあまり頓着していないようだ。特にインドでは高評価の様子。2022/01/21

かんやん

26
社会主義からキリスト教を経て日本への回帰。いずれにせよ熱狂的なアジテーターだ。著者は周明を至誠の人と呼ぶが、首を傾げざるを得ない。或いは、本気で「敬天」とか「愛憐」とか「道義国家」とか口にしていたのかもしれない。だとしたら、確かに「始末に困る」至誠の人かもしれんが、はた迷惑なことである。理想に燃え、国家改造を目指し、正義を振りかざす。正義感とは時に厄介なものであることよ。結末を知っている者が渦中にある者をアレコレ言うのもどうかと思わなくもないが、「世界の道義的統一」なんて言葉は、空しく響くばかり。2019/08/21

姉勤

21
東京裁判で東條元首相の禿頭をペチリとした狂人。そんなイメージを残して拝読。A級戦犯として起訴された唯一の”民間人”大川周明の一生。本邦と東西の宗教、そして岡倉天心からの影響で、日本主義、大アジア主義とコスモポリタニズムに目覚めるが、拡張主義と経済的封鎖に抗えず、軍へ協力、戦後裁かれた。国粋主義とは一線を画す彼の思想は軍に利用はされども疎まれた。本邦初のコーランの翻訳など著作も膨大で、知の巨人としてアジア独立の先鞭者として広く世界では知られている。それは占領政策に有害な思想として戦勝者史観の墨で消された。2015/08/22

かんがく

16
タイトルの「復古革新」がキーワードになる。大川や北一輝などの昭和維新関連の人物を右翼-左翼という単純な二分で語ることは難しい。彼の人生を辿ると、キリスト教、社会主義、アジア主義、日本主義という遍歴が見えてくる。軍国主義の思想的指導者として戦犯裁判にかけられたが、事実ある程度戦時日本の思想を代表するような人物であるといえる。ただ、忠君と愛国を切り離したという点に、一般的にイメージされる日本主義者との大きな違いがあると筆者は指摘。全体的に大川を再評価するような論調だったが、北との違いなどもわかって良かった。2020/04/10

無重力蜜柑

15
A級戦犯指定を受けた唯一の民間人である大川周明の、人生と思想の遍歴を追った評伝。もともと社会主義者だったのが大学で宗教哲学へ目覚め、アジアへの「回帰」、活動団体を通した政治化、そして軍部との結び付きによる右翼テロへの接近。まさに波瀾万丈の人生で、20世紀前半の日本を体現している人物だと思う。思想自体はオーソドックスなアジア主義で、根底にヘーゲルやシュライエルマッハーらの西洋哲学があるからか現代人にも理解しやすい。逆に観念右翼の言い分は出発点が国体論や国家神道、儒学だったりするので現代人には分かりにくい。2022/08/05

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