講談社文芸文庫<br> 光の曼陀羅―日本文学論

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講談社文芸文庫
光の曼陀羅―日本文学論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 687p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062903080
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

折口信夫『死者の書』を起点に浮かび上がる特異な表現者たちの系譜。埴谷雄高、南方熊楠、中井英夫……。大江健三郎賞、伊藤整賞受賞埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら、「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に呈示する第二部「光の曼陀羅」。『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。

第1章 宇宙的なるものの系譜
宇宙的なるものの系譜――埴谷雄高、稲垣足穂、武田泰淳
耆那大雄をめぐって――埴谷雄高『死霊』論
鏡を通り抜けて――江戸川乱歩『陰獣』論
未来の記憶――稲垣足穂『弥勒』論
A感覚レオナルド――南方熊楠と稲垣足穂
野生のエクリチュール――南方熊楠とアンドレ・ブルトン
混沌たる大楽――南方熊楠の宇宙論
不可能な薔薇――中井英夫『虚無への供物』論
閉じられた部屋のなかで――密室論
第2章 光の曼陀羅
『死者の書』の謎を解く
光の曼陀羅――『初稿・死者の書』解説
折口信夫新発見資料
虚空の曼陀羅――折口信夫新発見資料解説
身毒丸変幻――折口信夫の「同性愛」
ユリシーズの帰還――折口信夫とアジア的世界
神と獣の間で――透谷、泡鳴、迢空
青い時間――折口信夫の戦後


安藤 礼二[アンドウ レイジ]
著・文・その他

内容説明

埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら、「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に呈示する第二部「光の曼陀羅」。『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。

目次

1 宇宙的なるものの系譜(宇宙的なるものの系譜―埴谷雄高、稲垣足穂、武田泰淳;耆那大雄をめぐって―埴谷雄高『死霊』論;鏡を通り抜けて―江戸川乱歩『陰獣』論;未来の記憶―稲垣足穂『弥勒』論;A感覚的レオナルド―南方熊楠と稲垣足穂;野生のエクリチュール―南方熊楠とアンドレ・ブルトン;混沌たる大楽―南方熊楠の宇宙論;不可能な薔薇―中井英夫『虚無への供物』論;閉じられた部屋のなかで―密室論)
2 光の曼陀羅(『死者の書』の謎を解く;光の曼陀羅―『初稿・死者の書』解説;折口信夫新発見資料;虚空の曼陀羅―折口信夫新発見資料解説;身毒丸変幻―折口信夫の「同性愛」;ユリシーズの帰還―折口信夫とアジア的世界;神と獣の間で―透谷、泡鳴、迢空;青い時間―折口信夫の戦後)

著者等紹介

安藤礼二[アンドウレイジ]
1967・6・15~。文芸評論家。東京生まれ。早稲田大学第一文学部(考古学専修)を卒業後、出版社に勤務。2002年「神々の闘争―折口信夫論」が群像新人文学賞評論部門優秀作となる。同作品を基にした著書『神々の闘争―折口信夫論』で、2006年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2009年、『光の曼陀羅―日本文学論』で大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞。多摩美術大学美術学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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浅香山三郎

11
以前読んだ著者と富岡多惠子氏との対談が面白かつたので読む。折口信夫の『死者の書』の底流に流れるのが、彼が若い頃に学んだ仏教とキリスト教の同一起源論だといふ考察が、その部分と関連する。藤無染との関係を絡ませると、様々な点と線が繫がり、神智学の影響もみへるといふのも興味深い。他にも、中井英夫・埴谷雄高・稲垣足穂・南方熊楠・江戸川乱歩といふ、変態的・宇宙的・曼陀羅的な科学と幻想文学の担い手についての論考が並ぶ。彼らの思想・作品を生んだ時代背景と水脈を丹念に解き明かす、著者の博覧強記に裏打ちされた↓2021/12/31

mstr_kk

8
折口信夫、南方熊楠など、たいへん勉強になりましたが、日本文学に「宇宙的なもの」の系譜を見出す試みとしては、面白いとはいいがたいものがあります。この著者の論には、「小説として分析する」という水準がありません。そのため、作品の作者と登場人物とをいとも簡単に同一視してしまいます。また、「これとこれは似てるよね」という指摘が深まりをもちません。埴谷雄高論はけっこうひどいのでは。『死霊』の構想における大雄を「物自体」と読み替える解釈を、なぜ「正当なものであると確信」できるのか。よくも悪しくも中二性が炸裂しています。2016/10/28

にしの

7
大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞作。密度が濃く読むのにだいぶ時間がかかってしまった。トピックとしては無論折口信夫『死者の書』だが、そこに南方熊楠、江戸川乱歩、稲垣足穂、埴谷雄高、中井英夫、アンドレ・ブルトン、透谷/泡鳴の諸作、景教ネストリウス派の分析を加え、彼らを共通の宇宙認識軸に位置づける。また新発見資料や折口の卒業論文『言語情調論』から、藤無染という人物や「日想観」等、あまり注目されてこなかった観点を切り出し、折口学の本質に迫ろうとする。終章『青い時間 折口信夫の戦後』は非常に美しく更なる論が待たれる。2021/02/24

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