講談社文芸文庫<br> 天安門

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講談社文芸文庫
天安門

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062901161
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

幼年期を台湾で暮らした著者の中国小説集。米国人の主人公が、初めて北京を訪れ見た中華人民共和国を描いた「天安門」、現代中国と著者の関係性が何に向かうのか・・・伊藤整賞受賞作「仮の水」など5篇。

内容説明

アメリカ生まれの著者が、初めて訪れた中国。都市を離れて、中国の奥へ奥へ―そこには現代があった。国境、言語を越え、歴史を遡るアイデンティティの旅。自身に流れる血を通して、自己の存在を、「仮」と「真」の中で映し出そうとした衝撃の作品群。一人の越境者の魂の漂泊は、現代中国の真の姿を求める。伊藤整賞受賞作「仮の水」を含む、鮮烈の短篇五作。

著者等紹介

リービ英雄[リービヒデオ]
1950・11・29~。小説家。アメリカ生まれ。プリンストン大学卒業。プリンストン大学、スタンフォード大学日本文学教授を務め「万葉集」の英訳により全米図書賞受賞。1989年より日本定住。92年、日本語で書いた処女作『星条旗の聞こえない部屋』で野間文芸新人賞受賞。2005年、『千々にくだけて』で大佛次郎賞、09年、『仮の水』で伊藤整文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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三柴ゆよし

17
幼少期の言葉と記憶をめぐる旅が「天安門」という終着点における、あるひとつの巨大な象徴との対峙によって、閃光のように炸裂する表題作。どこにおいても所属を拒まれる奇妙な名前を背負うた男が、大陸の奥地において、自己のもうひとつのアイデンティティと遭遇する「ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行」が、殊にすばらしい読後感をのこす。後者はリービ英雄のもうひとつのルーツともいえるユダヤの血を扱った作品で、ディアスポラにより大陸に流入した彼らが、中国人の姓を得て、<がいじんではなく、なった>という歴史をたどる旅が、(続)2014/09/14

ハチアカデミー

9
リービ英雄はいつだって不機嫌だ。慣れない異国の地への旅の中の、その風土への違和感と嫌悪感。だがしかし、彼には帰る土地が無いのだ。米国でも日本でも中国でも、どこにいても彼は「外人」と呼ばれ疎外される。紀行文的な作風だが、それは彼の生き方がデラシネだからだろう。「ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行」の主人公は、相手によって名前すらかわることへの不安感が表象される。また「満州エクスプレス」では、日本の故郷喪失者たる「安部先生」が登場。「けものたちは故郷を~」の舞台訪問が生き生きと、かつ鬱々と描かれる秀作。2013/10/11

刳森伸一

2
ユダヤ、アメリカ白人、中国、日本…それらを内包するが故に自身のアイデンティティを他者から拒絶される作者(の分身)の中国への旅。そこには無関心もあったが、得るものもあった。しかし、彼のアイデンティティを求める旅は終わらない。2019/12/29

くまこ

0
言葉の感覚と中国の描写が面白かった。中国に行ったことはないが目の前に風景が浮かんでくるようだった。中国に行くときっとこうなんだろうなあと想像しながらとても楽しく読むことが出来た。2016/07/08

Junko Yamamoto

0
大陸の埃っぽい状況が目の前に浮かぶ。細かい描写での日中の違いを書きわけが面白い。2016/05/20

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