出版社内容情報
小林秀雄、坂口安吾、保田與重郎の戦時下の言説を丹念に辿り、「書くこと」は「戦争」に拮抗し得るのかを問う。日本イデオロギーの根柢を撃つ気鋭の挑戦
<書くこと>でいかに<戦争>と拮抗しうるのか――。小林秀雄、坂口安吾、保田與重郎の戦時下における著述を丹念に辿ることで、時局に追従する言説と彼らとの距離を明らかにし、保田の『万葉集の精神』を起点に、日本文を成立せしめた「訓読」というプログラムの分析へと遡行する。気鋭の批評家による<日本イデオロギー>の根底を撃つ画期的試み。群像新人文学賞受賞作を収めた第1評論集。
山城むつみ
私が心底、驚いたのは、小林がただ「読む」ことだけで、いわばサシで、また丸腰でドストエフスキーの本文とわたり合っていたからだ。(略)どんなに高度な理論を参照している場合でも、ドストエフスキーをただ読む読み方で読み通すという原則を崩していなかった。これはあたりまえのことのようで実は容易なことではない。ただ読んで驚嘆したところを「書く」ためには尋常でない集中力と愛情で熟読を繰り返さねばならないからだ。(略)小林は尋常でない速度でドストエフスキーのテクストを歩いているのだ。驚嘆すべき脚力である。――<「著者から読者へ」より>
小林批評のクリティカル・ポイント
戦争について
万葉集の「精神」について
文学のプログラム
参考資料 単行本あとがき
著者から読者へ
山城 むつみ[ヤマシロ ムツミ]
著・文・その他
内容説明
「書くこと」でいかに「戦争」と拮抗しうるのか―。小林秀雄、坂口安吾、保田與重郎の戦時下における著述を丹念に辿ることで、時局に追従する言説と彼らとの距離を明らかにし、保田の『万葉集の精神』を起点に、日本文を成立せしめた「訓読」というプログラムの分析へと遡行する。気鋭の批評家による「日本イデオロギー」の根底を撃つ画期的試み。群像新人文学賞受賞作を収めた第一評論集。
目次
小林批評のクリティカル・ポイント
戦争について
万葉集の「精神」について
文学のプログラム
著者等紹介
山城むつみ[ヤマシロムツミ]
1960・9・24~。文芸評論家。大阪府生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒。現在、東海大学文学部文芸創作学科教授。1992年、「小林批評のクリティカル・ポイント」で第35回群像新人文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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