講談社文芸文庫
オモニ太平記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900591
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

一九一〇年生まれ、済州島からキミガヨ丸で大阪に上陸、異国で辛酸を嘗めたオモニ。文字を識らない彼女の生活の襞から生まれた日韓チャンポンの「オモニ語」と自由闊達な人柄に娘婿小田は振り回されつつ魅せられる。カルチャー・ギャップに起因する珍騒動が明るい笑いを誘う一方、家族に影を落とす差別や国家分断の痛みをも容赦なく抉り出す。行動し、書いた小田実の肉声が鮮やかなヒューマン・エッセイ。

目次

カラフトのオモニたち
ヤクジャと思想家
「オモニ語」と「アボジ語」
キミガヨ丸とクンデワン
ウニ首相の妓生遊び
おたがい、がんばったな
「ゲーリー・クーパー」の「朝鮮」
「日本海」と「東海」
ご飯はマラソ食べるんや
もうそんなにうらめへんねん〔ほか〕

著者等紹介

小田実[オダマコト]
1932・6・2~2007・7・30。小説家、評論家。大阪府生まれ。中村真一郎の影響を受けて高校時代から小説を書く。東京大学文学部言語学科卒。1958年、フルブライト留学生として渡米、ハーバード大学大学院に学ぶ。留学を終えてヨーロッパ、中近東、アジアを貧乏旅行、体験記『何でも見てやろう』がベストセラーになる。65年、開高健、鶴見俊輔らと『「ベトナムに平和を!」市民連合』(ベ平連)を結成、市民による反戦平和運動の中心的存在となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Masakazu Fujino

11
小田実という人は、一時代を画した人だと思う。個人的に人間的には好きではなかったが。 「思想的に偏っている」なんて言い方ですますことが出来る人物ではないと思う。その後小田実氏が、自らの義母となったオモニを中心に描いたエッセイ。朝鮮半島(朝鮮・韓国)を中心に様々なことを考えさせる。2023/09/19

アメヲトコ

1
戦前に済州島から渡ってきた在日一世にあたる義父母について書いた一冊。イデオロギーにとらわれて時に紋切り型になる著者の生真面目な思考と、そんな枠組みをやすやすと超えていくオモニの自由闊達さとのギャップが本書の味わいになっています。2016/03/12

あきこ

0
作者の義母のエピソード集のようで、小説のような不思議な話。市井に生きる普通のおばさんの生きる知恵、というか姿勢が気持ちいい程まっすぐなのだ。学問から学んだのではない生きる知恵と世の中を見る力は、理屈では説明のつかない鋭さで迫ってくる。在日の韓国人というと差別や苦労の話、と思ってしまいがちだが、ここにはそういうものではなく人として、家族としての国境を越えたふれあいの物語である。物語ではないか、本当の話。このオモニの人間性に気付いて本にまとめた、その気付きが小田さんだ。2011/11/07

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