内容説明
父の末弟で、受験に何度も失敗し、自らの生を決めかね悲しい結末を迎える若き叔父・御年。彼の書き残した父宛の手紙で構成した「遠景」をはじめとし、夢の手法をまじえて綴った「復活」ほか、生家をめぐる人々をモチーフとした作品を中心に、ギャンブル仲間であった一人の男の意外な出世と悲惨な転落を追った「虫喰仙次」など、全九篇を収録。戦後最後の無頼派作家の描く、はぐれ者たちの生と死。
著者等紹介
色川武大[イロカワタケヒロ]
1929・3・28~1989・4・10。小説家。東京生まれ。東京市立第三中中退。終戦後は博打と無頼の日々を送る。1961年、「黒い布」で中央公論新人賞。69年より“阿佐田哲也”名で連載を始めた「麻雀放浪記」のシリーズが大ロングセラーとなり、大衆作家としての地歩を固める一方、「生家へ」など本名の“色川武大”名義の純文学作品でも高い評価を得た。77年、「怪しい来客簿」で泉鏡花文学賞。78年、「離婚」で直木賞。82年、「百」で川端康成文学賞。89年、「狂人日記」で読売文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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