出版社内容情報
判型:A6判
頁数:288p
造本・体裁:仮製・薄表紙・カバー
川端康成文学賞受賞の感動作を含む傑作集!
朝鮮から移民、娘7人は国籍も住所も三か国に離散、がん末期の身を大震災が襲う。作家の義父を通して歴史の軛に喘ぎつつ強く生きる庶民像を彫琢した表題作等7篇
内容説明
「ぼくは生まで帰る」―食うために朝鮮から移民、激しい肉体労働の六十年を送った「アボジ」の望みは、生まの遺体で故郷の済州島に還ることだった。著者自身の義父を通して歴史の軛に喘ぎながら逞しく生きる人間像を見事に彫琢した表題作(川端康成文学賞受賞)他六篇。戦争の世紀の只中にあって、常に「殺される側」の庶民の目と感性で行動し、書き、自ら時代の語り部たらんとした小田実の四十年に亘る珠玉短篇集。
著者等紹介
小田実[オダマコト]
1932・6・2~2007・7・30。小説家、評論家。大阪府生まれ。中村真一郎の影響を受けて高校時代から小説を書く。東京大学文学部言語学科卒。1958年、フルブライト留学生として渡米、ハーバード大学大学院に学ぶ。留学を終えてヨーロッパ、中近東、アジアを貧乏旅行、体験記『何でも見てやろう』がベストセラーになる。65年、開高健、鶴見俊輔らと『「ベトナムに平和を!」市民連合』(ベ平連)を結成、市民による反戦平和運動の中心的存在となる。70年、開高、高橋和巳らと「人間として」創刊。『HIROSHIMA』では第三世界最高の賞であるロータス賞を、「『アボジ』を踏む」では川端康成文学賞を受賞。95年の阪神・淡路大震災に西宮市の自宅で被災、被災者生活再建支援法制定に向け運動、行動する作家のパワーを最晩年まで持ちつづけた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。