講談社現代新書<br> “生命”とは何だろうか―表現する生物学、思考する芸術

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講談社現代新書
“生命”とは何だろうか―表現する生物学、思考する芸術

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  • サイズ 新書判/ページ数 278p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881937
  • NDC分類 460
  • Cコード C0245

出版社内容情報

生命科学の「生命」と、日常の中で思う「いのち」はどう橋渡しされるのか?生物学者でありバイオアート作家である著者が語る。

最先端の生命科学が扱う自然科学の「生命」と、日常生活の中で我々が思う「いのち」、あるいは人文科学において探究されてきた「生命」。
細胞を人工的につくることが可能になりつつある現在だからこそ、これらを同じ地平で語る必要があるのではないでしょうか? では、どのように語りうるのでしょうか? 

著者の岩崎氏は、「生命がリズムやパターンを生じるメカニズム」を研究する生物学者であり、同時にバイオメディアや切り絵を用いた造形作家としても活躍しています。その活動の中ではぐくんだ問題意識から、本書では、生命科学がどのように私たちの生命観と関わっているのか、生命科学自体が生命へのどのようなまなざしを内包しているのか、「生命を理解する」とか「生命について考える」とはどういうことなのかを考えます。

その手がかりとして、「生命そのもの、もしくは生命の何らかの側面をつくる(再構築する・模倣する)」ことに着目し、「つくりながら理解する」合成生物学、その源流となる先達の研究者たちの構想、生命美学と呼ばれる試み、生命をめぐる現代芸術・アートなど、さまざまなアプローチから論じていく、越境する生命論です。

第1章 つくりながら理解する生物学―細胞をつくるとは?
第2章 「細胞を創る」研究会をつくる
第3章 合成生物学の源流をめぐって
第4章 表現する生命科学―生命美学という試み
第5章 現代芸術における生命

内容説明

生命科学は、どのように私たちの生命観と関わっているのか。生命科学は、どのような生命への眼差しを内包しているのか。「生命を理解する」「生命について考える」とは、どういうことなのか。つくりながら見えてきた“生命”の本質。

目次

第1章 つくりながら理解する生物学―細胞をつくるとは?(生命をつくる;生命の基本単位としての細胞 ほか)
第2章 「細胞を創る」研究会をつくる(合成生物学の台頭;システム生物学 ほか)
第3章 合成生物学の源流をめぐって(「何ができたら人工細胞」なのだろうか?;トラウベの人工細胞 ほか)
第4章 表現する生命科学―生命美学という試み(チューリング・テストと人工細胞;生命の定義と間主観性 ほか)
第5章 現代芸術における生命(芸術はなぜ生命にこだわるのか;マイクロヴィーナス ほか)

著者等紹介

岩崎秀雄[イワサキヒデオ]
1971年、東京生まれ。名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了。名古屋大学助手、科学技術振興機構さきがけ研究員などを経て、早稲田大学教授(電気・情報生命工学科)。専攻は細胞分子生物学、生命美学。生物がリズムやパターンを生じるメカニズムの研究とともに、バイオメディアや切り絵を用いた造形作家として国内外で精力的に創作・展示活動を行っている。生命に関わる芸術・美学の制作・研究を推進する学際プラットフォームmetaPhorestを主宰、科学者と美術作家が混在する研究室を運営。「細胞を創る」研究会の設立にも関わり、社会文化ユニットの世話人も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

禿童子

24
著者の岩崎さんは合成生物学の研究のかたわら切り絵作家としても活動している。もともと芸術系に進みたかったようで、生命美学というジャンルを作ったいきさつが興味深い。ベンターのゲノム解析あたりまでは知っていたが、その後の「生命をつくる」「細胞をつくる」という方向の科学の進展も知ることができた。生物を使った芸術活動については生理的に受け付けられない部分もあるが、生命の作り出す形に魅了される気持ちはわかる。生命を人の手で作り出せない限り「生命を理解した」と言えないのか?深甚な問いかけ。2018/07/04

月をみるもの

12
IT 系の業界では最新の研究のことを SOTA=State of the art と言うんだけど、それはつまり「まだ科学ではなく ART である研究」ってことなのだ、、ということに気づかされた。。2018/07/29

またの名

10
なんの疑いも抱かず「細胞膜にあるレセプターが物質Aを認識するとその信号は細胞内シグナル分子を使った情報伝達系で核に伝えられていき、遺伝子Bの発現を誘導する」といった記述を客観的だと思えるなら前半は読めるけど、本書はそこで終わらない。明らかに擬人化された記述様式が比喩と変わらないことを自覚する著者は生物学の枠を超えて、哲学や芸術も援用。科学の記述が特定のレトリックに依拠せざるをえない事実は現代哲学では常識的事項。制度化され制限された学問の枠で記せない感情や観念や問題提起の表現を、芸術にも協働させようとする。2017/02/18

ミズグ

10
本書の主要なテーマと展開は、すごく知的であることはわかった。けれど難しかった。半分以上理解できていない。2014/07/20

Humbaba

10
例え同じ物を作り出すことが出来たとしても,それでそのものが完全にわかるわけではない.無論作れた方が作れないよりはわかっていることは多いといえるだろう.しかし,それはあくまでも第一歩にしか過ぎない.2013/05/13

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