出版社内容情報
今村 核[イマムラ カク]
著・文・その他
内容説明
日本の刑事裁判は有罪率99.9パーセント。なぜ冤罪は起きるのか?裁判員制度でどう変わったのか?冤罪弁護士が語る真実。
目次
第1部 冤罪はこうして生まれる―冤罪の事件簿(虚偽自白;目撃者の証言;偽証;物証と科学鑑定;情況証拠)
第2部 裁判員制度で冤罪を減らせるか(日本の刑事裁判の特色;裁判員制度の導入で、日本の刑事裁判の特色は変わりつつあるか;判決文を通して、裁判員裁判の特色を読み解く;冤罪・誤判防止のために、裁判員制度はどう変わるべきか)
著者等紹介
今村核[イマムラカク]
弁護士。1962年生まれ。東京大学法学部卒業。1992年、弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。冤罪事件のほか、労働事件、民事事件などを担当。クレストシャイン号事件、群馬司法書士会事件、保土ヶ谷放置死事件などを担当。現在、自由法曹団司法問題委員会委員長、日本弁護士連合会全国冤罪事件弁護団連絡協議会座長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
348
警察が如何にして自白を取っていくのか。自白をどう誘導するのか現行の裁判制度の問題点がよく分かった。2017/06/07
さゆ
175
日本は刑事事件の有罪率が99%越えというが、その理由は無罪となりそうな事件は全て不起訴になっているためである。一方、もし冤罪として起訴されてしまった場合は無罪に覆すことは無理に等しく、その有罪率が警察検察のメンツと態度を硬直化させ、自白として勝手に作られた供述調書のストーリーに沿うよう正解まで問答するというやり方がとられてきた。また、陪審員裁判の導入も透明化が目的ではなく、検察のスケジュール通り迅速に裁判を終わらせるためという視点も面白い。現在、検察は政治家の裏金事件に奮闘しているが過信は禁物。2024/03/14
てつのすけ
51
我が国においては、刑事裁判の大原則「疑わしきは被告人の利益に」ということが守られていないと考える。疑われるということは、疑われることをしているという思考だ。これは非常に危険な思考である。特に、昨今の新型コロナウイルスに対する状況を鑑みるに、「他府県ナンバーの車両に石を投げつける」といつた報道が顕著だろう。冤罪、誤判を防ぐためには、まずは国民一人一人が、成熟した考えができるようにならなければならないとならないのではなかろうか。2020/07/24
のんぴ
28
警察、検察、裁判所の構造的問題があると思う。点数稼ぎのためなら、捏造、人権侵害、なんとも思っていない。検察が有利な証拠のみ開示し、スケジュールがきついからと言ってそれを鵜呑みに、すぐ有罪に傾く裁判所。捜査過程の全記録化、全可視化、鑑定試料の全量消費の禁止、物証保全の義務化。これらに難色を示す理由などないはず。何人たりとも、あの人たちの出世のカモにされて、捉えられたら、いともたやすく、全く見たことも聞いたこともない事件の犯人として自供してしまう。冤罪責任者には、税金ではなく、自分の資産から罰金払ってほしい。2024/03/20
テツ
23
冤罪が生まれると無実の人間が一人犠牲になるのと同時に実際にやらかしちまった奴が野放しになる。自白を重視する日本のシステムは取調室において被疑者の自白を求めるあまりに会話による誘導や恫喝まがいの尋問を発生させる原因になるんだろう。正義と社会秩序を維持するために、本当に罪に問われるべき人間を野放しにしないために、取り調べ全体を可視化する方向に進むべきだよな。疑わしきは被告人の利益にという原則を忘れてはならないし、それを自白で乗り越えるなんてことはしちゃならない。2018/06/11