講談社現代新書<br> 本音の沖縄問題

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講談社現代新書
本音の沖縄問題

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  • サイズ 新書判/ページ数 261p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881562
  • NDC分類 312.199
  • Cコード C0236

出版社内容情報

1972年5月、沖縄は日本復帰を果たすが、米軍基地撤去もまた残ってしまった。それから40年、沖縄では語れないオキナワの本音。1952年4月28日、対日講和条約発効、沖縄が日本から切り離され、米軍統治下に置かれることが決定、それから20年後の1972年5月15日、沖縄、日本復帰。
そして同時期、本土が大幅に減り続けた一方で、「復帰」した沖縄では、米軍基地の固定化、集中化が進む。その「代償」としての多額の補助金。それから40年、基地とカネをリンクしたシステムが完全に破綻しつつある沖縄で、いま何が起きているのか。大阪生まれの沖縄人2世で沖縄に移住して15年を数える著者が、沖縄でもなかなか語られてこなかった沖縄人の本音を交え、「沖縄問題」の真実に迫る。

第一章 沖縄のいま
日本国内の米軍基地の74%が集中する沖縄。なかでも本島に県内の9割以上の基地が集中する現状で、米軍犯罪・事故はいまでも年間250件以上。観光立県への道も基地問題が立ちはだかる。 
第二章 県民感情のいま
復帰後も変わらない本土との違和感。昔のようなあからさまな差別はなくなった一方でいまでも残る沖縄に対する差別。一方で沖縄サイドにも本土からの理解者を拒否する人々も。
第三章 沖縄内部の矛盾   
沖縄戦の真実を隠蔽しようとする県、琉球時代から続く、本島からの八重山差別、基地とセットで語られる依存の構図とは。
第四章 沖縄という土地
優良な投資物件としての軍用地、祖国日本への幻想、独立への幻想を抱き続ける人々。


仲村 清司[ナカムラ キヨシ]
著・文・その他

内容説明

すべての問題は、1972年5月15日に始まった。裏切りと失望、依存と反発の40年。

目次

第1章 沖縄のいま―繰り返される歴史(「辺野古断念」が報道された日;自衛隊誘致に揺れる国境の島;観光立県の危うい字たち;減らない米軍犯罪;沖縄戦後史一九四五年~五二年;沖縄を切り捨てた天皇メッセージとサンフランシスコ平和条約)
第2章 県民感情のいま―反米より反ヤマト(拡大する本土との違和感;消えた差別と残った差別;連帯を拒否する人々;沖縄戦後史一九五〇年代;反基地運動の原点となった島ぐるみ逃走とアメリカ世の時代)
第3章 沖縄内部の矛盾―深化する対立(削除される史実;もうひとつの沖縄問題;依存体質の構図;『テンペスト』に抗議する人々;沖縄戦後史一九六〇~七〇年代;基地を固定化させた沖縄返還と深刻化する沖縄問題)
第4章 沖縄という土地―復帰が問われる時代(軍用地買います;沖縄の運動には「型」がある;復帰を問い直す人々;独立を志す人々;沖縄戦後史一九八〇年~現在;保守県政の誕生と普天間基地問題)

著者等紹介

仲村清司[ナカムラキヨシ]
1958年、大阪市生まれの沖縄人二世。作家、沖縄大学非常勤講師。96年、那覇市に移住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yori

8
★★★★☆ 沖縄の抱えた問題の複雑さをあらためて。沖縄の相手(敵というか、、)はアメリカなのか、それとも日本国なのか。。。沖縄県内でも島によってまるで認識が違うようだし。それにしても、沖縄県民が琉球王国の歴史を知らない、と言う事はとても残念だと思う。琉球処分まで(薩摩支配はその前からあったが)独立した国として、日本と同じだけの歴史があり、他の地域とは一線を画す存在だというのに。個人的にはとても興味があります。2012/09/03

大泉宗一郎

5
大阪生まれの沖縄人二世の著者が、ヤマトンチュとウチナンチュのアイデンティティに揺らぎながら沖縄問題への心情を吐露した一冊。仲井眞県政時代の2012年に刊行されており、当時の歴史教科書の検定問題や『テンペスト』考証批判の記述などの記述から時代の空気が伝わるとともに、基地や交付金、沖縄独立論など、固定化された問題へもメスが入れられ、10年を経た今もなお読書に耐えうる内容。交付金に依存する体質に批判的な姿勢は他の沖縄問題の本と一線を画するといえる。注意すべきは、あくまでも著者個人の「本音」であるという点だろう。2024/01/06

skunk_c

5
沖縄人2世で現在在沖の作者による沖縄論。沖縄の置かれてきた歴史状況や、沖縄の受けてきた差別、そして沖縄内の差別を視野に入れて論じている。本土「復帰」を第三の琉球処分ととらえる視点は、沖縄自立・独立論にシンパシーを感じている著者らしい。ただ、外的要因を強調するあまり、内的要因に対する切り込みが甘い印象。2012年の本であるが、例えば時の仲井真県知事が辺野古移設に「反対」している真意を読み解けていない。民主党政権崩壊後に手のひら返しをすることは予想できたと思うのだが。2015/03/03

かみーゆ

4
10年前の本土復帰40年の時に書かれた本。この10年で辺野古の埋め立てが進むとはね。まあ鳩山さんが悪いんじゃないかな。仲村さんも沖縄出ちゃったんでしたっけ。部外者は部外者として、何が起こっているのかは知っておかないとと思っていますけど。最近読んだばっかの『テンペスト』の話も載ってて、そこは著者に完全同意です。調べてみると結構叩かれてたみたいですもんね。興味を持つきっかけになるってとても素晴らしいことだし、フィクションを史実だと思う人なんていないっちゅうの。2022/03/14

KJ

3
沖縄の日本復帰。その言葉だけを聞くと「良かった」というイメージを持つ。沖縄の人々自身が復帰を強く望んだ事実もあるだろう。ただその後に、沖縄への米軍基地の集中と固定化が進んだという現実。日本への復帰が、沖縄の人々の思い描いた未来とはかけ離れている事を物語っている。「反復帰論」まで存在していたとは知らなかった。度々登場する「◯◯の琉球処分」という言葉。その言葉の数だけ、本土が沖縄を裏切り、沖縄の人々を失望させている。本土と沖縄の間にある構造的差別。「沖縄は日本なのか」この問いに実態で答える必要があるのだろう。2015/06/22

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